2月22日(月) 飛梅・老松
東風ふかば 匂いおこせよ梅の花
主なしとて春な忘れそ
ご機嫌よろしゅうございます。
梅の花の咲く頃、天神茶会の行われる
季節となりました。
「東風ふかば…」の歌は昨年もご紹介しましたが、
菅原道真の歌としてとても有名です。
この梅には天皇に重用されていた道真をねたむ
藤原時平の讒言によって、太宰府に左遷となった
主・道真を慕って、都から太宰府まで飛んでいった
という「飛梅」伝説があります。
そしてその梅を追って松がやってきた。
桜は同じ籬にありながら主の思し召しがなかった
ことを怨み、一夜のうちに枯れてしまったといいます。
能「老松」では、間語りで
「梅は飛び 桜は枯るる 世の中に
何とて松は つれなかるらむ』
と詠まれます。
この「老松」は長寿の象徴である松・春、
先駆けとして咲く梅のめでたさを讃える祝言能です。
かつて徳川幕府でも正月三日に諸大名によって
祝いの席が設けられ、観世太夫がこの「老松」
を謡いました。
2月19日(金)能と茶の湯
「芦屋(あしや)高砂釜」
ご機嫌よろしゅうございます。
今週は「高砂」にちなんだ釜を
ご紹介します。
現在五島美術館に収められている
芦屋の高砂釜は鴻池家伝来で、
同家にはもう一つ高砂地紋釜があり、
江戸時代中期には二つ揃えであった
といわれています。
一面に尉と姥を、
他面には竹林に鶴を配しています。
鐶付は亀です。そして、
我見ても久しくなりぬ住吉の
岸の姫松幾世経ぬらむ
この歌が尉と姥、竹林の模様の間に
鋳出されています。
「私が見てからも久しいこの住吉の姫松は
一体どれだけの御代を経たのであろう。」
この歌は高砂から住吉に移り、住吉明神が
現れて謡ます。
また「伊勢物語」や「古今集」にもこの歌が
みられます。
2月15日(月)想(おも)い葉
ご機嫌よろしゅうございます。
昨日2月14日はバレンタインデーでした。
バレンタインはもともと、西暦269年に
兵士の自由結婚禁止政策に反対した
バレンタイン司教が、ローマ皇帝の迫害によって
殉教した日を記念した祭日(2月14日)と
むすびつけられて出来たもので、
今では女性から男性にチョコレートを贈るという、
日本独自の習慣が生まれ人々に受け入れられています。
さて、そんな日にちなみまして
茶畑からこんなお話を。
茶葉の中で、二枚の葉がくっついたものを
「想い葉(おもいば)」と呼ぶのだそうです。
四つ葉のクローバーのように珍しいもので
これを見つけると恋の想いが、相手に伝わる
といわれているそうです。
茶摘みはかつて若い娘さんの仕事で、
新茶時期には茶農家に泊まりこみで働いたの
だそうです。
茶摘みをする娘さん達も、偶然見つけた想い葉に
心を躍らせていたのでしょうか。
2月12日(金)能と茶の湯
「染付高砂花入」
ご機嫌よろしゅうございます。
先週は「高砂」のご紹介を致しました。
この「高砂」にちなんだ道具でよく
知られるのが、
「染付高砂花入」です。
図柄と形が大変インパクトのある花入で
花入の首の裏表に描かれた二人の人物が
尉(じょう)と姥(うば)に見立てており、鯉耳のついた
砧型をしています。鯉も日本では
祝意を表すものとして好まれます。
肩には蓮弁文、胴部分に水藻文が施されて
いて、この手の類のものは「高砂手」と
呼ばれています。
日本以外にはこの手のものが見当たらないこと
から日本からの注文品と考えられ、
本歌は中国・明代末期とされています。
2月15日(月)想(おも)い葉
ご機嫌よろしゅうございます。
昨日2月14日はバレンタインデーでした。
バレンタインはもともと、西暦269年に
兵士の自由結婚禁止政策に反対した
バレンタイン司教が、ローマ皇帝の迫害によって
殉教した日を記念した祭日(2月14日)と
むすびつけられて出来たもので、
今では女性から男性にチョコレートを贈るという、
日本独自の習慣が生まれ人々に受け入れられています。
さて、そんな日にちなみまして
茶畑からこんなお話を。
茶葉の中で、二枚の葉がくっついたものを
「想い葉(おもいば)」と呼ぶのだそうです。
四つ葉のクローバーのように珍しいもので
これを見つけると恋の想いが、相手に伝わる
といわれているそうです。
茶摘みはかつて若い娘さんの仕事で、
新茶時期には茶農家に泊まりこみで働いたの
だそうです。
茶摘みをする娘さん達も、偶然見つけた想い葉に
心を躍らせていたのでしょうか。
2月8日(月)珠光茶会
ご機嫌よろしゅうございます。
今日2月8日から14日の7日間、
村田珠光(むらたしゅこう)のゆかりの地である奈良で、
「珠光茶会」が催されます。
奈良では、古より様々な文化が育まれてきました。
そのうちの一つである「茶の湯」を通して
奈良の魅力を発信することを目的に行われる
このイベントは今年で三回目となります。
遠州流茶道は第1回から参加し、
お家元も第1回目は来賓として招かれ、
昨年は元興寺でお献茶をご奉仕されています。
奈良市内の世界遺産を含む八社寺や、
歴史的な街並みが残る「ならまち」のお茶室を
舞台に、今年は七流派(遠州流茶道、表千家、裏千家、
武者小路千家、石州流、藪内流、宗徧流)が一堂に会し、
普段からお茶に親しんでいる方だけでなく
お茶に馴染みのない方、観光客の方にも
楽しんでいただける茶会になっています。
遠州流は2月11日(木)に薬師寺まほろば会館にて掛釜
また14日(日)には水之江 福智院店にて、
初心者に向けた講座「扇子の使い方と薄茶席」の
体験を行います。
2月5日(金)能と茶の湯
「高砂(たかさご)」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は「高砂」についてご紹介します
平安時代前期の延喜(えんぎ)の頃。
都を見物しようと九州からのぼってきた友成一行は、
高砂の浜辺に立ち寄り、松の落葉を掃く老夫婦に
出会いました。
老夫婦は相生(あいおい)の松のいわれについて、
高砂の松は『万葉集』、住吉の松は『古今和歌集』
をあらわし、歌が盛んに詠まれ世の中が
平和であることを象徴する松なのだと語ります。
そして我ら夫婦は、それらの松の精なのだと
正体を明かし、住吉で待とうと告げて小舟に
乗って姿を消します。友成らが月夜に船を出し、
住吉の浜辺にやってくると、西の波間から
住吉明神が現れます。明神は長寿をほこる
松のめでたさを称え、さっそうと舞を舞います。
澄んだ月明かりのもと、舞につれて、
松の梢に吹き寄せる心地よい風の音が聞こえ、
明神は平和な世を祝福するのでした。
(※日本芸術文化振興会参照)
「高砂」は、祝いの曲として広く知られ、今でも
祝言やおめでたい席でうたわれます。
次週はこの「高砂」に関連した茶道具を
ご紹介します。
2月1日(月) 向栄亭の床の間拝見
ご機嫌よろしゅうございます。
今日から二月、そして二月の四日は 立春です。
寒さは依然として厳しいですが そろそろ春の気配を感じられる頃になりました。
さて、今日は二月の宗家稽古場の床の間をご紹介します。
床 紅心宗慶宗匠筆 柳緑花紅(やなぎはみどり はなはくれない)
花 加茂本阿弥椿 木五倍子(かもほんなみつばき きぶし)
花入 志戸呂 鶴首
床の間の掛け物の言葉は 中国北宋時代の政治家であり詩人である
蘇東坡(そとうば)の「花紅柳緑真面目」 花は紅(くれない)柳は緑(みどり) 真面目(しんめんもく)
という言葉に由来するものです。
花は紅、柳は緑、このあたりまえのことが、
とりもなおさず真理の実相である
自然のあらゆるものがそのままで 真実を具現しているといっています
1月29日(金)能と茶の湯
「翁」
ご機嫌よろしゅうございます。
新年を迎えると、「翁」とよばれる演目が
必ず各地の能舞台で演じられます。
「翁」は能の中でも神能の特殊な演目で
「能にして、能にあらず」と言われ
霊的な力を授けられた”神の使い”である翁の舞は、
国家安静、五穀豊穣を祝う神事とされています。
「とうとうたらりたらりら
たらりあがりららりとう…」
という謡にはじまり、舞の間に翁が翁面を
つけるのですが、観客の前で演者が面をつけるのは
この曲だけ、この面をつけることにより
翁は神格を得ます。
遠州公がこの「翁」にちなんで銘をつけた
茶入があります。「大正名器鑑」には
「作行の古雅なる、黄釉のなだれの物寂びたる
人をして翁の面に対する想いあらしむ」
と記されています。
瀬戸破風窯のその茶入には挽家蓋・内箱蓋・仕覆蓋
の書付を遠州公自らしており、愛蔵ぶりが伺えます。