11月 11日(金)能と茶の湯

2016-11-11 UP

11月 11日(金)能と茶の湯
「筒井筒」

ご機嫌よろしゅうございます。

先週は能「井筒」をご紹介しました。
今日は高麗茶碗の中でも第一の格を持つ
井戸茶碗の中でも昔より特に声価の高い名物手井戸
「筒井筒」(重文)の茶碗をご紹介します。

「筒井筒」の銘は、もと筒井順慶が所持し、
茶碗が深めで高台が高いところから「筒井の筒茶碗」
といわれたと伝えられています。
筒井筒は順慶が秀吉に献上し秘蔵されていました。
しかしある日の茶会で近侍の小姓が誤って取り落とし、
5つに割ってしまいます。
激怒した秀吉が小姓を手打にしようとしたところ、
茶会に招かれていた細川幽斎が、

筒井筒五つにわれし井戸茶碗
とがをばわれに負ひにけらしな

と詠んだことで、秀吉の機嫌もたちまち直り
小姓は一命を取り留めた逸話が残っています。

細川幽斎は古今伝授を受けた歌道の大家で、茶の湯
や能にも非常によく通じた武将でした。

ちなみに秀吉も大変能を愛したことは以前にも
ご紹介しましたが、秀吉四十七番の所演の記録のうち
この「井筒」を三番舞っています。

6月 10日 (金)能と茶の湯

2016-6-10 UP

6月 10日 (金)能と茶の湯
「羽衣」

ご機嫌よろしゅうございます。

先週は「羽衣」のあらすじをご紹介しました。
今日は「羽衣」を銘にもつ志野茶碗をご紹介します。
志野の名碗「羽衣」は

正面に見える強い焦げがあり、
見る者全ての目をひきつけます。
高台は荒々しく、暴れていて特徴的です。
今に伝わる志野茶碗の中でも特に印象的で力強い茶碗です。
志野は桃山時代を代表する美濃焼の一つです。
艾土(もぐさつち)と呼ばれる白い土に長石釉(志野釉)
を厚めにかけて作られます。
釉の下に鬼板と呼ばれる顔料で文様を描き焼成すると
条件によって黒や赤、鼠色、褐色に変化します。

内側に一筆ふわっと引かれた線があり、これを
天に舞う天女の羽衣に見立てられたことからの
銘とされています。

9月 23日(水) 遠州流茶道の点法

2015-9-23 UP

9月 23日(水) 遠州流茶道の点法
「天目 その2」

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は先週に引き続き、天目についてのお話を。

天目茶碗には、覆輪(ふくりん)の付いたものと
ついていないものがあります。
覆輪とは茶碗の口縁部を補強するために覆う
細い金属製の輪です。この覆輪のあるなしで
茶碗の清め方の扱いも少し変わります。

天目茶碗を天目台にのせて使用し、茶巾は
両辺裁ち切りのものを真にたたみ、
天目用の茶筅を使用します。
また茶杓は牙(げ)の真の茶杓を使用します。

また遠州流茶道では通常お茶の量にあった湯を
一度で入れて点てますが、台天目の場合は貴人に
対するご祝儀の意味で、茶を十分練った後
少し湯を加えます。(加え柄杓)
また亭主は挨拶する際に、通常点法座のまま挨拶しますが、
台天目では一膝貴人の方へ向いて挨拶をします。

そして袋天目点法とは、名物裂などの仕服が
ついている天目茶碗を、その仕服に納めて
天目台にのせて、濃茶を点てる点法です。

相伴のいる場合は別の茶碗で点てます。
この相伴付の点法についてはまた改めてご紹介します。

如水茶訓

2014-9-21 UP

9月21日 如水茶訓

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は日曜日。
軍師官兵衛の時代のお話を。

隠居して如水と名乗った官兵衛ですが、
秀吉の死後となる慶長四年(1599)の正月
茶の湯定書というものを発布しています。

一 茶を挽くときには、いかにも静かに廻し、
油断なく滞らぬように挽くべきこと

一 茶碗以下の茶道具には、
垢がつかないように度々洗っておくこと

一  釜の湯を一柄杓汲み取ったならば、
また水を一柄杓差し加えておくこと
決して使い捨てや飲み捨てにしてはならない

これらは利休流を守った教えであると記しています。

素朴で、華美なところは感じられず、
簡単なことのようでなかなか実践できない
そんな日常の心のあり方を、
如水は定書に記したのでした。

徹底解剖 茶道テディベア4

2014-8-14 UP

8月14日「徹底解剖 茶道テディベア4」 ご機嫌よろしゅうございます。

茶道テディベアの魅力のご紹介も。

4回目を迎えることができました。

第4回は、いよいよ、『茶道テディベア』固有の魅力について、ご紹介したいと思います。

全長:22センチメートル(子猫ちゃんくらいのかわいい大きさです。)

素材:シルク/ポリエステル/コットン(シルクの入った素材はシュタイフ社でも珍しい!)

瞳はツヤツヤの真ん丸。

大切に手に持ったお茶碗とチラリとのぞく帛紗が茶道の象徴です。

ピンクの振袖のお柄は小堀遠州公より430年続く遠州流茶道の家紋、

七宝花菱文。 七宝紋は輪違い紋ともいわれ、無限に連鎖する平和や円満を意味する 輪の交叉から成る文様のため、「世界中の財宝」と「無限の子孫繁栄」を 表す吉祥文様(とても縁起の良いおめでたい文様)として好まれて参りました。 とてもかわいいテディベアでございます。

詳細は、下記URLでご覧くださいませ。楽しみにお待ちいたしております。

http://enshuryu.sakura.ne.jp/shop/html/products/detail.php?product_id=6

専用ダイヤル 03-6228-1208 後ろ姿ベア 

卯の花墻

2014-5-12 UP

5月12日  卯の花墻

ご機嫌よろしゅうございます。
爽やかな初夏に白い卯の花が美しく咲き
新緑にうつるその白さは、私たちの目に眩しく映ります。
卯の花は空木(うつぎ)の別名です。

今日はそんな卯の花を銘にもつ
茶碗をご紹介します。

日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されているのは、
二碗のみで、そのうちの一つがこの「卯の花墻」です。
(もう一碗は本阿弥光悦作・銘「不二山」

室町三井家から寄贈され、現在東京の三井記念美術館に
所蔵されています。
16世紀後半、桃山時代に作られた志野茶碗です。

志野とは、美濃(現在の岐阜県)の窯で焼かれ
桃山時代を代表する窯場のひとつで、
織部焼もここで作られています。

少し歪んだなりをしていて、篦削りも大胆なこの茶碗は
織部好みに通じる作行きです。

夏に白い花を咲かせる卯の花の垣根に
似ていることからこの銘がつけられました。
遠州公の後、徳川将軍の茶道師範となった
片桐石州による銘とされています。

前押せ

2014-4-25 UP

4月25日 前押(まえおせ)

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は遠州公の好みの形である前押について
お話ししたいと思います。

茶碗や水指などの道具に見られる意匠です。
正面に手で押したわずかなへこみを作り
アクセントとしています。ここが正面ですよと
お客様にわかっていただけるように
との心配りからついています。

遠州流では濃茶の後、数名のお客様に次々と
薄茶を点てる場合に重ね茶碗というものを使用します。
同じ出生(窯)のもので、天目型の成りに
正面をわずかにへこませた前押の形
のものを大小重ねて使用する茶碗です。

遠州公は当初三島茶碗などの平茶碗をお客様の人数分重ねて
点法したようですが、
それを国焼きに改めて考案しました。

切形(きりがた)と呼ばれる型紙をもとに
遠州公の作為による前押茶碗を、八世宗中公が作らせた
高取の重ね茶碗も今に伝わっています。

この重茶碗というお点法は、
遠州流特有のお点法です。

好茶碗

2014-1-15 UP

1月15日 好みの茶碗

ご機嫌よろしゅうございます。
本日は東京における点初め最終日です。

お腹も満たされ、いよいよ最後は薄茶へ。

毎年お家元が好まれお作りになられた茶碗が薄茶席で使われます。

薄茶席では例年、主茶碗の他、ご先代の代から好まれた(デザインされた)干支の茶碗が使われています。
「こちらが12年前、24年前、36年前の干支のお茶碗で…」
と浅井先生から説明を受けると
皆様それぞれに茶碗を手どって
楽しそうにお話をはずませていらっしゃいます。

今年の茶碗は
色絵 手綱・七宝つなぎ文様 矢口永寿作
です。
口つくりは仁清の様にやわらかく山路風に作られ
干支にちなみ、胴の上の部分には色絵で馬の手綱が描かれ下部には、遠州流らしい七宝紋をめぐらせたデザインです。

馬を描いた道具はしばしば目にしますが、馬を連想させるモチーフが描かれたものは
なかなかありませんので、印象的です。

薄茶席にて是非手取りましてご覧ください。

【告知】 文化放送「オトナカレッジ」

本日15日20:00~ 文化放送「オトナカレッジ」に映画のナレーションを務めている
次女の優子様が生出演されます。