「東海道旅日記」 上りの記 訳文 続き 

2022-4-15 UP

更に坂を登って、山を見れば、梢は散りつくして、
様々な木の種類の葉がここかしこの木の
根元に散り集まっている。
その様子はさながら錦の布を敷いたようであった。

いろいろに そめし木の葉を 木のもとに
 あらしのしける 錦なるらし

箱根の宿に到着して一泊。

十七日 仮寝をして、夜が明けないうちに
山を出発する。
人に見せるつもりもなく、
旅のすさびにでもなればと書付けてきたが、
幾山を越幾旅の宿を数えきたこれまでを想うと、
「道の日記」に似たようなものである。
これより急ぐので、ここに書きおくことにする。