7月 22日 朝顔(あさがお)
朝顔は朝露をおびて咲くといへど
夕顔にこそ咲きまさりけれ
ご機嫌よろしゅうございます。
暑さのこたえる夏ですが、
早朝ばかりは少し暑さもやわらぎ、
人の往来の少ない静かな時間、朝顔の咲く様子を眺めるのも
涼を感じるひと時ではないでしょうか?
先ほどの和歌は万葉集に登場する朝顔です。
今日私達が目にしている花はヒルガオ科の一年草で、
朝に花を咲かせ、午前中にしぼんでしまいますが、
万葉集に詠まれる「あさがほ」はしぼみません。
どうやら現在の「朝顔」とは異なるようです。
「顔」というのは「顔花」という意味
つまり、朝に咲く顔花(美しい花)」という意味があります。
平安時代、薬用として渡来した「牽牛子(けにごし)」の花
蔓が牛を引ける程強いという意味がありますが
この「牽牛子」の花が、朝に美しい花を咲かせるので
「朝顔」と呼ばれるようになりました。
7月 21日 海の日
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は海の日、祝日です。
こちらは比較的近年に制定された休日です。
1876年に明治天皇が東北を巡られ、
青森から横浜へ入港されたことににちなみ、
逓信大臣である村田省蔵氏が提唱し
7月20日が「海の記念日」とされました。
その後、海の仕事に従事している人の運動によって、
1996年に「海の恩恵に感謝し海洋国日本の繁栄を願う日」
として「海の日」として祝日に指定されました。
はじめは7月20日でしたが、2003年の
ハッピーマンデー法制定を受けて
第三月曜日に定まりました。
この祝日を含む三連休、及び7月の1ヶ月間に
「海」に対する理解と認識を高めるため、国土交通省では、
「海フェスタ」など、全国各地で行われる海に関する
様々なイベントの紹介を行っています。
7月 20日 暑中見舞い
ご機嫌よろしゅうございます。
夏になると文房具屋さんには
涼しげな絵柄の暑中見舞い用はがきが並べられます。
近況が綴られたはがきが届くと
とても嬉しいものです。
さてこの暑中見舞い、一体いつ頃から始まったのでしょうか?
昔の人々は、正月とお盆の節目に
親や親戚、お世話になった方を訪問し、
贈り物をする風習がありましたが
遠方のお宅には訪問することができないので、
江戸時代の身分のある人々は、飛脚便などを使って
書状や贈り物を届けたそうです。
これが簡略化されたものが、はがきによる挨拶と思われます。
明治6年に日本のはがき郵便配達が始まり
これを機に、遠方の人にも
挨拶状を送る習慣が広まっていきました。
年賀郵便の制度の開始が明治39年
暑中見舞いのはがきを送る習慣が広まったのは
大正時代頃以降のようです。
この暑中見舞いを出す時期ですが、
土用の入りからとされています。
土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の四季の変わり目の前の
18日間のこと。
今日がその土用の入りの日にあたります。
7月19日 遠州公の愛した茶入「勢至」
ご機嫌よろしゅうございます。
本日は遠州蔵帳所載の茶入「勢至」をご紹介します。
この茶入の胴の部分の景色を勢至菩薩の姿に似ている
ことから命銘したと思われます。
勢至菩薩は、観音菩薩とともに、阿弥陀如来の脇侍として知られており
知恵の水が入っている水瓶を持っています。
遠州公の茶会記には特に記載はありませんが、
遠州公が8月22日付で書いた書状が掛物として添っています。
また小堀家七代宗友政方(まさみち)が
安永八年(1779)9月18日、11月4日に使用したことが
記録されています。
小堀家歴代に伝わった後、
森川五郎右衛門の所持となり
江戸鹿児島清兵衛の手に渡った後
東京馬越恭平、その後恭一へ伝わりました。
7月 18日 三伏(さんぷく)
ご機嫌よろしゅうございます。
暑さ厳しい毎日が続きます。
今日は三伏のうちの初伏にあたります。
「三伏」とは一年で最も暑い時期をいい、
昔は時候の挨拶でもおなじみでした。
夏至の後、第三の庚(かのえ)の日を初伏、
第四の庚の日を中伏、立秋後の最初の庚の日を末伏と言い、
この三つで三伏といいます。
「木・火・土・金・水」の5つの性質に分類する
陰陽五行説の由来によると、夏という季節は「火」に、
庚の日は「金」に属し、「火は金を溶かす」
という関係から凶とされています。
和漢朗詠集に
池冷水無三伏夏(池冷やかにして水に三伏の夏無し)
松高風有一声秋(松高うして風に一声の秋有り)
という漢詩があります。
池の冷やかな水には、三伏の夏も存在しない。
松の高い梢を吹く風には、はや秋の声を聞く感がある。
この詩を権十郎篷雪公が書いた掛物が宗家に伝わっています。
7月 17日 打ち水
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は打ち水のお話を。
温暖化が危惧される現代、打ち水で気温を下げようと
いうイベントが行われているのを時折
ニュースで目にします。
水が蒸発する際、周囲から気化熱を奪い
気温を下げる効果があります。
日本人は古くからこの打ち水で
暑い夏の日に涼を得てきました。
しかし、打ち水は夏の暑い日ばかりに行う
ものではありません。
お茶事では、お客様をお迎えする準備が整った際
門前に打ち水をし、支度の整ったことを知らせます。
日常でも自宅の玄関先にやはり水を打ち、土埃を静め、
清々しさでお客様をお迎えします。
葉から零れる雫や、しっとりと濡らした
地面のみずみずしさ、そこからほのかに漂う清々しい匂い
迎えられる側も玄関先からその心遣いに触れる一瞬です。
撒きムラや、一方向から水を打っていると、
裏にうち残しができてしまい、お客様に見えると
格好悪いものです。
撒きムラや打ち残しのないよう、綺麗に打てると
迎えていただいた方も、道中の暑さをしばし忘れられる
ことでしょう。
7月 16日 送り火
ご機嫌よろしゅうございます。
ご先祖様が13日にいらっしゃり、
16日(15日ののところも)送り火の煙とともに、
お帰りになります。
送り火と迎え火は玄関先で、焙烙の皿の上で
オガラや松の割り木などを乗せて燃やします。
オガラは麻の皮をはいだあとに残る芯の部分のことで
麻は古来から清浄な植物として考えられてきました。
悪いものを祓い清め、また燃やすことで
清浄な空間を作り出すという意味が込められて
いるといいます。
毎年8月16日に行われる京都・五山の送り火
(大文字焼き)もお盆の送り火です。
7月15日 中元(ちゅうげん)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日はお中元のお話を。
お世話になった方へ贈り物をする現在のお中元
この習慣は古くは神や御先祖への捧げ物でした。
もともと中国では道教に由来する年中行事として
年三回、それぞれ天官、地官、水官
という神々にささげものをする日があり、
その中で15日に祀る地官のことを「中元」と呼びました。
この中元の神様は善悪を分別し、人間の罪を許す役目なので
さまざまな贖罪の行事が催されます。
この風習が日本にもたらせられ、お盆の祖霊供養に
お供えを贈った風習と混じり合って
仏に供えるお供物を親戚や隣近所に贈る習慣となった
といわれています。
7月14日 夏は夜
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は枕草子の一節をご紹介します。
夏は夜
月の頃はさらなり
闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし
雨など降るもをかし
月明かりにほのかに光る蛍
そして、突然の夕立
どれも夏の夜にふさわしい、美しい情景です。
「をかし」は趣がある、風情があるといった意味。
日常の風景の中に風情を見つけ、それを巧みな表現力
で表した「枕草子」は「をかし」の文学とも言われます。
特にこの「春は曙…」から始まる四季の一節は
原文で読んでも、確かにその美しさに共感できる
日本人の美しいものに対する感性は、現代に通づるものだと
実感できます。
これが千年以上前に書かれたものであるから驚きです。
7月 13日 お盆
ご機嫌よろしゅうございます。
東京では今日がお盆の迎え火です。
お盆には先祖の霊があの世から家族の元に帰ってきて、
再びあの世に帰っていく、という日本古来の祖霊信仰と
仏教が結びついた行事です。
正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)といい
盂蘭盆とは、「逆さまに吊るされたような苦しみ」
という意味の仏教用語です。
この苦しみから先祖の霊を救うため
供物を備え、供養します。
日本では推古天皇十四年(606年)には
既に盂蘭盆を行ったという記録があります。
お盆の期間は地域によってさまざまですが
東京では7月13日から7月16日、
その他の地方では8月13日から8月16日に行われる
ことが多いようです。