薩摩茶入 銘「宿の梅」 中興名物

2017-2-20 UP

我が宿の梅の立ち枝や見えつらむ
思ひの他に君がきませる

菅原道真公といえば梅の花。太宰府に左遷となった道真、その道真を追いかけて梅の木が飛んで行ったという「飛び梅伝説」。この故事から、「道真」と「梅」という結びつきが天神信仰の広まりと共に鎌倉中期以降に大衆に浸透します。また「梅」は文様としても多く描かれています。
さて、冒頭ご紹介しました梅の歌にちなんだ銘の茶入「宿の梅」があります。江戸時代初期、薩摩で焼かれたこの茶入は白地の下地が褐色釉のところどころから見え隠れしまるで梅のような景色を作っています。後藤三左衛門所持から「後藤」ともよばれ、遠州公が「拾遺集」の平兼盛の歌から命銘しました。