東海道旅日記 下りの記【03】 10月8日

2021-1-15 UP

10月8日江戸に向かうことになり江月和尚より餞別の志を一偈にして、手紙を添えてよこしてくださった。公儀の用が忙しく、手紙を開く暇もなく日も暮れ、伏見の里を朝も早くから出発し、関山を越えて内出の里に到着する。そこかしこから人が集まってきて、心せわしくあわただしくしているうちに時も過ぎていった。
瀬田の長橋を渡ろうとするが日が短いので、うち出の濱から渡し船に助けられて琵琶湖をすすむ。北を見れば焦がれてやまない滋賀の故郷がみえる。唐崎の松も懐かしく思われる。

ふるさとの 松としきかば旅衣 
たちかへりこむ しがのうら浪