東海道旅日記「下りの記」  訳文1

2021-1-15 UP

ご機嫌よろしゅうございます。
今日から本文の訳をご紹介致します。
以下訳文

10月の8日江戸に向かうことになり
江月和尚より餞別の志を一偈にして、
手紙を添えてよこしてくださった。
公儀の用が忙しく、手紙を開く暇もなく
日も暮れ、伏見の里を朝も早くから出発し、
関山を越えて内出の里に到着する。
そこかしこから人が集まってきて、
心せわしくあわただしくしているうちに時も過ぎていった。

瀬田の長橋を渡ろうとするが日が短いので、
うち出の濱から渡し船に助けられて琵琶湖をすすむ。
北を見れば焦がれてやまない滋賀の故郷がみえる。
唐崎の松も懐かしく思われる。

ふるさとの 松としきかば旅衣 
たちかへりこむ しがのうら浪