「砧(きぬた)」

2016-10-28

10月 28日(金)能と茶の湯
「砧(きぬた)」
ご機嫌よろしゅうございます。
先週は能「砧」をご紹介しました。

茶の湯の道具で「砧」といって思い浮かぶのは
砧青磁ではないかと思います。
砧青磁は、南宋・元時代に浙江省龍泉窯でつくられた
青磁の一種でこれらは「砧手」と呼ばれました。
この砧とは、青磁鳳凰耳花入「千声」(重文)や
「万声」(国宝)の形が砧に似ていたためという説や、
青磁鯱耳花入(仙台伊達家旧蔵)のヒビを、
砧を打つ「ひびき」にかけて千利休が名付けた
ことからという説があります。

そもそも砧とは、衣を柔らかくし、光沢を出す
ための生活用具でした。
蘇武の妻子が高楼に登って砧を打つと、その音が
胡国の蘇武に届いたという故事があり、
妻が遠国にいる夫に想いを馳せて砧を打つという
形ができあがりました。
この能の情趣が想起され
砧は忘れられた女性の寂しさや恨みを表し、
また俳句の秋の季語としても、「砧」「砧打つ」
などが用いられるようになります。