鶉図

2013-11-19

皆様ごきげんよろしゅうございます。

本日は鶉図についてお話いたします。

 

≪掛軸:鶉図≫

現在、根津美術館には国宝の李安忠の『鶉図』が展示されております。

李安忠は中国・南宋時代(12~13世紀)の画家で、「李安忠と言えば鶉、鶉と言えば李安忠」と呼ばれるほど、鶉に因んだ作品で有名です。

この『鶉図』は、日本には東山御物として請来し、足利将軍家に蔵されていました。

もともと、この『鶉図』には対をなしていた一幅がありました。

しかし、侘び茶の発展と共に、床の間の幅が狭まり、対幅の掛物を掛けられる茶室が減っていきます。

それによって対幅であったこの掛物も、一幅ずつ掛けられるようになり、時代が経つと各々に所有者が表れました。

よって、対幅の『鶉図』は一度離れ離れになってしまいます。

しかし、江戸初期になって、遠州によって書院造りの床の間が復活されると、遠州は真ん中に所持していた徽宗皇帝の鶺鴒を、左に李安忠の鶉を配し、右にそれと同じ寸法で、松花堂昭乗に竹雀の絵を描いてもらい、三幅対としました。

遠州蔵帳には三幅対として、以下のように記載されており、昨年の三溪園茶会では、蔀関月(しとみかんげつ)が写した三幅対が掛けられました。

 

「左・李安忠    鶉」

「中・徽宗皇帝筆  鶺鴒」

「右・松花堂昭乗筆 竹雀」

 

今では対幅や三幅対はそれほど珍しい飾り方ではなくなりましたが、拝見した際に、そこに遠州の知恵があったことを思い出せれば、と想います。

根津美術館には対幅であった『鶉図』の一幅が掛けられており、もう一幅は上記の三幅対となって個人像とされています。