薫風自南来

2014-5-8 UP

5月8日 薫風自南来

ご機嫌よろしゅうございます。
爽やかな初夏の風が心地よく感じられるこの季節
新緑の間を吹き抜け、若々しい緑の香りをもたらしてくれる
という意味の薫風(くんぷう)という言葉がぴったりです。

この時期よく掛けられる禅語に

薫風自南来

という言葉があります。

南から吹いてくる爽やかな風が、全てのものの
心を爽やかにしてくれる、そんな様子を表しています。
また、この風を、インドから中国へ仏教を伝えた達磨大師
ととらえる読み方もあるようです。

この語は唐の文宗皇帝が、
人は皆炎熱に苦しむ
我は夏日の長き事を愛す
と作った詩をうけて、柳公権という詩人が、
続けて一篇の詩としたものです。
薫風自南来
殿閣微涼を生ず

世の人々は夏の暑さを嫌がるが、
私はその夏が長いことを好んでいる。
暑い中、時折吹く薫風によって宮中が清々しくなる
のはとても心地よく、こんな気分は、夏でないと味わえない
といった意味です。

その後この詩を庶民の苦しい暮らしを知らないが故のもの
として批判する人物も現れたようですが、
この言葉が禅語として重用されるのは

薫風自南来という、自然の情景を示すこの言葉を聞き、
大慧禅師が大悟したといわれるため
なのだそうです。

端午の節句

2014-5-7 UP

5月 7日  端午の節句              粽(ちまき)と柏餅(かしわもち)」
ご機嫌よろしゅうございます。 端午の節句といえば、粽や柏餅ですが 皆さんはどちらを召し上がりましたか?
粽か柏餅か、 これには東西の文化の違いが関係しているようです。
粽は、平安時代に中国から端午の節句が伝来したときに 共に伝えられ、全国に広がっていきました。 その後江戸時代に端午の節句が五節句の一つになってから、 縁起のいい柏餅が江戸の主流となり、 伝統を重んじる上方は粽を伝承したそうです。
粽は今からおよそ2300年前、中国で屈原(くつげん)という詩人が 陰謀によって失脚し、国を追われてしまいます。 国の行く末に失望した屈源は、汨羅(べきら)という川に投身自殺します。 その日が5月5日。 人々は屈原の死を悲しんで、供物を川へ投げ入れて弔いをしていましたが、 その供物は屈原のもとに届く前に、悪い龍に盗まれてしまうので 龍が苦手な楝樹(れんじゅ)の葉でもち米を包みました。 これを、邪気を払う赤・青・黄・白・黒の五色の糸で縛り 川へ流すと無事に屈原のもとへ届くようになったといいます。 その後中国では5月5日に粽を作って災いを除ける風習ができ、  端午の節句 となって粽とともに日本に伝来したのです。
粽が中国伝来なのに対し、柏餅は日本独特のものです。 新芽が出ないと古い葉が落ちないことから、子孫繁栄など の意味を込めて使われ、端午の節句の縁起のいい食べ物となりました。
さて皆さんのご家庭ではどちらでしたでしょうか? …でも、せっかくなので どちらもいただきたいですね。

憲法記念日

2014-5-3 UP

5月3日 憲法記念日

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は憲法記念日
祝日です。

5月3日は1948年に
「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する日」
と法律で定められた国民の祝日の1つです。

その憲法の内容は、
「国民主権」
「平和主義」
「基本的人権の尊重」
という3つの柱を持っています。

1948年に生まれた子供には、
新憲法に対する思いから
「憲司」・「憲太郎」や「憲子」など
子どもの名前に「憲」の字を入れることが多かったそうです。

憲法そのもの自体は、学校で習って以来、
普段なかなか向き合うこともなかなか
ないかもしれません。
GWの一日として楽しみつつ、
年に一度この祝日に、憲法について考える
機会にできるといいですね。

八十八夜

2014-5-2 UP

5月2日 八十八夜

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は八十八夜です。

「夏も近づく八十八夜…」で始まる歌が頭に浮かびます。
八十八夜は立春から数えて八十八日目の日をさします。
八十八という字を組み合わせると「米」という字になる
ことから、農家では大切な日とされてきました。
この日を境に本格的な農事にとりかかります。

お茶どころでは茶摘みの最盛期となります。

お茶の葉は、一度でも霜に当たると駄目になってしまいます。
そのため昔は藁をひき、霜を防いだようです。

この八十八夜に摘まれ、
茶壺に詰められた碾茶を、十一月に取り出すのが
「口切(くちきり)」です。

この茶葉を詰めた茶壺は、茶道創生期においては、
茶道具の第一の道具でした。
今では想像しにくいことですが、茶入が茶壺に変わり人気があがるのは、
それよりも後のことになります。

道成寺鐘供養

2014-4-27 UP

4月27日  道成寺鐘供養

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は4月27日です。
毎年4月27日には和歌山県川辺町の道成寺で
鐘供養が行われます。

道成寺は和歌山県最古の寺で、
大宝元年(701年)に創建されました。

この寺は『安珍清姫伝説』で知られており
能や歌舞伎・浄瑠璃などでも大変人気の高い演目です。

寺の創建から230年経った、延長6年(928年)。
参拝の途中、一夜の宿を求めた僧・安珍に清姫が
恋の炎を燃やし、裏切られたと知るや大蛇となって安珍を追い、
最後には道成寺の鐘の中に逃げた安珍を焼き殺すという
悲恋の物語です。

平安時代の「法華験記」(11世紀)、今昔物語などに同じような
お話をみつけることができ、
内容は伝承によってそれぞれ若干違いがあります。

12世宗慶宗匠命日

2014-4-24 UP

4月24日  十二世宗慶宗匠命日

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は4月24日
先代 紅心 宗慶宗匠のご命日です。

昭和25年 音羽護国寺において
二代小堀正之 備中守大膳宗慶公の宗号
「宗慶」を襲名されました。

並々ならぬ才を持ちながら、父である遠州公の存在に
かくれてしまい注目されることが少なかったことや
十一代の宗明宗匠から一巡した新たな一代目と捉え
二代目の「宗慶」を名乗ることとなりました。

そして当代家元は三代宗実公の名を襲名。
小堀遠州から続く綺麗さびの血脈は、
今も確実に受け継がれ、そしてこれからも
繋がっていきます。

根津美術館で行われた米寿の茶会の折
ご先代の無事と長寿を願って
お家元が床にいけられた
袋藤と延齢草の花

そしてその床の間をお二人でご覧になる姿が
今でも鮮やかに胸に蘇ってきます。

春眠暁を覚えず

2014-4-23 UP

4月23日  春眠暁を覚えず

ご機嫌よろしゅうございます。
今日はこの漢詩をご紹介します。

春眠不覺曉 (春眠暁を覚えず)
處處聞啼鳥 (処処啼鳥を聞く)
夜来風雨聲 (夜来風雨の声)
花落知多少 (花落つること知んぬ多少ぞ)

孟浩然の春暁の詩です。

一般的には、次のような意味に解釈されています。

春の眠りは心地よく、うっかり寝過ごし、
夜明けに気付かない。
目覚めてみると、ところどころで
鳥がさえずっていて天気が良さそうだ。
そういえば、昨夜は風雨の吹き荒れる音がした。
せっかくの花がどれほど落ちたことか。

近年では
春は日の出が早いので、同じ時刻に起きても
すでに空は明るい。
という意味で解釈する説もあるようです。

ただ、春のうららかなあたたかさとのどかさを表すのは
やはりこれまでの解釈の方があっているのではかなと思います。

桜鯛

2014-4-22 UP

4月22日  桜鯛(さくらだい)

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は、この時期旬を迎える「桜鯛」について
お話しします。

桜鯛は、春に旬を迎えるマダイのことを指します。
マダイは桜の花が咲き始める3~6月頃
産卵の為に浅瀬に来るので、この時期のマダイのことを
桜鯛と呼びます。
産卵期の鯛は赤みが増し、身が肥えて脂がのり、
一番美味しくなります。
他の季節のものと区別され珍重されています。

この時期、大阪の船場では親戚や親しい家の間で
とびきりの桜鯛を贈答する風習が、
江戸時代から大正頃まで続いていたそうです。

会席でも旬の食材を取り入れた献立が考えられ
その季節にあった旬の食材でお客様をもてなします。
これまでもいくつか「旬」の食材という
お話をしてきましたが
旬の時期においしくなるのは何故だかご存知でしょうか?

それは1年のサイクルの中で、
その生物が次の世代を産むために体に栄養を蓄える時期
と重なることが多いからなのだそうです。

初花(はつはな)

2014-4-21 UP

4月21日  初花(はつはな)

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は漢作唐物「初花」茶入についてご紹介します。

楢柴・新田肩衝と並んで、天下三肩衝の1つ。
もとは楊貴妃の油壷であったとも伝えられます。

初花とはその季節に一番に咲く花を指します。
この銘は足利義政が、
その形姿を天下に先駆ける初花にたとえて

くれないの はつ花ぞめの色ふかく
思ひしこころ われわすれめや

に因んで付けた銘であろうと『日本陶瓷史』
にありますが定かではありません。

織田信長が名物狩りで商人の大文字屋から取り上げたもので、
信長・秀吉・家康という三人の天下人の
所有するところとなり
柳営御物として三百年もの間を
幕府の権威を誇示することとなります。

現在は国の重要文化財に指定され、
東京の徳川記念財団に保管されています。

この初花と並んで好まれる「遅桜」茶入を
来週月曜日にご紹介します。

穀雨(こくう)

2014-4-20 UP

4月 20日 穀雨(こくう)

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は二十四節気の穀雨です。

春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、
雨で潤った田畑は種まきの好期を迎えます。
もとは、秋に種蒔きした麦類の生長を助ける雨のこと
を指し、麦は穂が出て実をつけるようになります。
のちに稲にも適用されるようになりました。

「清明になると雪が降らなくなり、
穀雨になると霜が降りることもなくなる」
といわれますが
変化の多い春の天気もこの頃からようやく安定し、
日差しも強まってきます。
昔から、この日に合わせて田畑の準備をするそうです。

また穀雨が終わる頃に八十八夜を迎えます。

いよいよ春から初夏へ向かう季節になりました。
この穀雨の恵みを受けて
山野は5月の美しい新緑の準備をしているのですね。