耳付

2014-4-11 UP

4月11日  耳付(みみつき)

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は遠州公のお好みになられた形の一つ
「耳付」をご紹介します。

遠州公以前にも見られた意匠ですが、
遠州公は上の方に小さなアクセントのように
耳をつけた瀟洒な形を好みました。

茶入の小さな耳、笹葉をした耳、遠州茶道宗家の紋である七宝形、
弦(つる)耳、
花入や水指の管耳、福耳、釜の笛耳など、いずれも
優雅な意匠をたたえています。

耳付きの茶入には
丹波「生埜(いくの)」「立花」
膳所の「大江」、薩摩の「甫十」「甫五」
など優れた作品が多く残ります。

遠州公の愛した茶入れ「凡」

2014-3-29 UP

3月29日 遠州公の愛した茶入「凡(およそ)」

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は遠州蔵帳所載の
「凡(およそ)」をご紹介します。

不思議な名前だな?と思われるかたも
いらっしゃるかもしれません。
この茶入の姿に「凡」の字が似ているところから
遠州公がつけたと言われています。

遠州公が将軍茶道指南役の任を終え
伏見に戻ってから行った最初の茶会で使用されて
その後12回ほど使用した記録が残っています。
遠州公最晩年によく使用された茶入で
後に松平不昧の手に渡り
「雲州蔵帳」にも記載されています。

相坂

2014-3-22 UP

3月22日 遠州公の愛した茶入「相坂」

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は遠州蔵帳所載の茶入
「相坂(おうさか)」をご紹介します。

瀬戸の窯で丸壺はあまりないようで
大変珍しいものです。

大切なお道具には、本体そのものは小さくても
仕服や蓋、盆など様々な付属がつき、
、その何倍にもなる大きな包みにくるまれていたりします。
この「相坂」もが仕服が四種に牙蓋が七枚、盆なども
作られ、その遠州公の愛憎ぶりが伺えます。

茶会では12、3回ほど使用しています。

「逢坂の嵐の風は寒けれど 行衛しらねば侘びつつぞぬる」
古今集 読み人知らず
の歌による銘で
これほどの茶入にまた合うことはないだろうとの
意味がこめられています。

遠州公の愛した茶入

2014-3-15 UP

3月15日 遠州公の愛した茶入

ご機嫌よろしゅうございます。
本日は遠州蔵帳記載の茶入
「在中庵(ざいちゅうあん)」を
ご紹介します。

この茶入はもともと堺の茶人
道休という人が所持していたもので
遠州公が、道休の住んでいた寺の名前の在中庵から
命銘しました。

遠州公秘蔵の茶入として蔵帳茶入の第一に挙げられていて
およそ55回の茶会で使用しています。

この茶入のためだけに使用する棚
「在中庵棚」まで作るほどの愛蔵ぶりです。

現在では大阪の藤田美術館に収蔵されています。

【告知】

大ヒット御礼!映画父は家元凱旋上映!

4月12日(土)~25日(金)
東京会場:シネ・リーブル池袋  http://www.ttcg.jp/cinelibre_ikebukuro/
東京都豊島区西池袋1-11-1 池袋ルミネ8階(池袋駅すぐ側)電話03-3590-2126
※上映時間は未定。(劇場にご確認ください)

【埼玉会場】
4月12日(土)~18日(金)
所沢:新所沢レッツシネパーク  http://www.ttcg.jp/lets_tokorozawa/
埼玉県所沢市緑町1-2-1新所沢PARCO+Let’sLet’s館4階 電話04-2998-8000
※上映時間は未定。(劇場にご確認ください)

遠州蔵帳

2014-3-8 UP

3月8日  遠州蔵帳

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は「遠州蔵帳」についてお話しします。

「遠州蔵帳」は
流祖遠州公から二世宗慶、三世宗実の
小堀家三代に渡る茶道具の来歴をまとめたものです。
遠州の自作の他、所有した道具、好んだ道具を含みます。

1月3日のメールマガジンでご紹介しましたように
三世宗実公が、遠州公以来三代に渡って収集された蔵品を
整理し作成した「小堀家器財帳」が元となっています。

後代に伝わる遠州蔵帳は写本が複数あり
定本がありませんでした。
昭和13年に、明治の数寄者益田鈍翁が
もっとも信頼性の高い写本から
『遠州蔵帳図鑑』を編集しました。

今月から土曜日にこの「遠州蔵帳」所載の
お道具についてご紹介していきたいと思います。

【告知】

大ヒットにつき映画 父は家元 池袋にて凱旋上映決定!!

4月12日(土)~25日(金)

東京会場:シネ・リーブル池袋

http://www.ttcg.jp/cinelibre_ikebukuro/

東京都豊島区西池袋1-11-1 池袋ルミネ8階(池袋駅すぐ側)

電話03-3590-2126 ※上映時間は未定。(劇場にご確認ください)

【埼玉会場】

4月12日(土)~18日(金)

所沢:新所沢レッツシネパーク   http://www.ttcg.jp/lets_tokorozawa/

埼玉県所沢市緑町1-2-1新所沢PARCO+Let’sLet’s館4階

電話04-2998-8000 ※上映時間は未定。(劇場にご確認ください)

 

映画 父は家元 公式ホームページ

雪間草

2014-2-21 UP

2月21日  「雪間草」

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は昨日ご紹介した
「雪間の草」の和歌に因んで銘をつけられた
茶碗をご紹介いたします。

「丹波(たんば) 銘・雪間草」

こちらは
日経新聞・文化面の≪心に残る名碗十選≫
でご先代が紹介されています。

花をのみ待つらん人に
山里の雪間の草の春を見せばや

桜を待ち焦がれる人に、雪の間から芽生えた
草の息吹を感じてもらいたい

これを利休がわび茶の心としたということをふまえ
松平不昧がこの銘をつけました。
松平不昧は出雲松江藩の第7代藩主で、
茶の湯を愛好し、遠州に私淑した大名として知られた大名です。

遠州公は各地の国焼きを指導しており、
丹波もそのうちの一つです。
六古窯にも数えられ、古い窯の一つですが
茶碗はほとんど焼かれていないようです。

丹波では
「生野(いくの)」という茶入が有名です。

【告知】

本日をもちましてテアトル新宿での映画 父は家元の上映が終了いたします。
上映時間
(1)10:00(2)17:25

映画 父は家元 公式ホームページ

菱馬

2014-1-30 UP

1月30日 菱馬

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は干支にちなんだお道具
「菱馬(ひしうま)」をご紹介致します。

菱馬といって思い浮かぶのは
呉須(ごす)の水指です。
形物水指として非常に人気の高い水指です。

菱形の両辺の隅を落とした形をしており
正面には団扇形
この中に二匹の馬が描かれています。
背面にはやはり団扇に一匹の馬の絵。

蓋には山水文様、つまみは竹節の形をしています。
本来は共蓋(本体と同じ素材でできている)ですが
失われて現存しないものも多く、
その場合は真塗りなどで新たにあつらえて使用します。

呉須は明末清初の頃のもので、
民窯で焼かれた素朴さが茶入の好みにかない
盛んに注文されました。

本年点初め薄茶席でも同手の水指が使われました。

永青文庫、九州国立博物館をはじめ、
所蔵する博物館が比較的多くあります。

【告知】

【横浜ニューテアトル】2/1より上映開始!!
上映初日 2月1日は 御家元の次女であり、ナレーションを務めた
小堀優子さんが舞台挨拶を行います。

上映期間:平成26年2月1日(土)~14日(金)
上映時間:(1)10:40~(2)14:40
※2月8日以降の時間は未定
映画 父は家元 公式ホームページ

遠州流茶道Facebookページ

http://www.facebook.com/enshuryu

馬蝗絆(ばこうはん)

2014-1-21 UP

1月21日 馬蝗絆

ご機嫌よろしゅうございます。

一月も半ばを過ぎ、
すっかりお正月気分も抜けた頃ではありますが、
せっかくですので馬にちなんだ茶道具はないかと
探してみました。

今日はそのうちの一つ
「馬蝗絆(ばこうはん)」
をご紹介いたします。

南宋時代に作られた青磁茶碗で
平重盛が愛蔵し、室町時代には八代将軍足利義政が
所蔵していましたが割れが生じたため
代わりの茶碗を求めて中国に送りました。
しかし、これほどの出来の良い青磁は焼けないとして
鎹(かすがい)で止めて送り返されてきました。

この茶碗に打たれた鎹を、馬に止まった蝗(いなご)に見立て
「馬蝗絆」と言われるようになりました。

この茶碗は
ご先代の紅心宗匠が昭和25(1950)年3月19日に
「宗慶」の号の襲名披露茶会の折、
遠州公にお茶を献じる際使用されました。
宗匠とご縁の深かった室町の三井高大氏の旧蔵で
現在重要文化財として東京国立博物館に
所蔵されています。

紅心宗慶宗匠が「宗慶」の名をお継ぎになられた理由が
今週末からテアトル新宿、シネリーブル梅田で公開される
遠州流茶道ドキュメンタリー映画「父は家元」の中でも紹介されております。

【告知】

映画 父は家元の情報も
遠州流茶道Facebookページ
にて随時更新して行く予定です。
是非
【いいね!】
をお願いします。
遠州流茶道Facebookページ
http://www.facebook.com/enshuryu

映画 父は家元   公式ホームページ

1月25日~2月7日上映 シネリーブル梅田
「父は家元」
上映時間は
全日10:00~です

鶉図

2013-11-19 UP

皆様ごきげんよろしゅうございます。

本日は鶉図についてお話いたします。

 

≪掛軸:鶉図≫

現在、根津美術館には国宝の李安忠の『鶉図』が展示されております。

李安忠は中国・南宋時代(12~13世紀)の画家で、「李安忠と言えば鶉、鶉と言えば李安忠」と呼ばれるほど、鶉に因んだ作品で有名です。

この『鶉図』は、日本には東山御物として請来し、足利将軍家に蔵されていました。

もともと、この『鶉図』には対をなしていた一幅がありました。

しかし、侘び茶の発展と共に、床の間の幅が狭まり、対幅の掛物を掛けられる茶室が減っていきます。

それによって対幅であったこの掛物も、一幅ずつ掛けられるようになり、時代が経つと各々に所有者が表れました。

よって、対幅の『鶉図』は一度離れ離れになってしまいます。

しかし、江戸初期になって、遠州によって書院造りの床の間が復活されると、遠州は真ん中に所持していた徽宗皇帝の鶺鴒を、左に李安忠の鶉を配し、右にそれと同じ寸法で、松花堂昭乗に竹雀の絵を描いてもらい、三幅対としました。

遠州蔵帳には三幅対として、以下のように記載されており、昨年の三溪園茶会では、蔀関月(しとみかんげつ)が写した三幅対が掛けられました。

 

「左・李安忠    鶉」

「中・徽宗皇帝筆  鶺鴒」

「右・松花堂昭乗筆 竹雀」

 

今では対幅や三幅対はそれほど珍しい飾り方ではなくなりましたが、拝見した際に、そこに遠州の知恵があったことを思い出せれば、と想います。

根津美術館には対幅であった『鶉図』の一幅が掛けられており、もう一幅は上記の三幅対となって個人像とされています。

空也

2013-11-13 UP

皆様ご機嫌よろしゅうございます。

本日は空也上人が東国教化のために寺を出立した日であり、忌日とされています。

京都空也堂では、11月の第2日曜に空也上人を偲んで法要が営まれます。

 

≪茶道具:空也≫

【中興名物「空也」後窯・新兵衛作茶入】

瓢箪茶入である空也は、その形から念仏僧・空也上人の念仏踊りに因んで、遠州がその銘を付けました。

というのも、空也上人の念仏踊りは、瓢(ひさご)を叩いて唱えながら市中を徘徊することで知られ、そのことが由来となっているのです。

注目されるのは、底の釉裾から土見へかけて文字が彫られていることで、その内容は「早く御やき 頼入申候 有」とあり、恐らく唐物屋・有来新兵衛がその焼成を急がせるべく彫り込んだものと見られます。

挽家、内箱書付共に遠州筆で、仕覆は鎌倉間道、鷹羽切の二つが添っています。