9月 7日 (月) 重陽(ちょうよう)の文

2015-9-7 UP

9月 7日 (月) 重陽(ちょうよう)の文

ご機嫌よろしゅうございます。

9月9日は重陽の節句です。
この重陽の節句については昨年
ご紹介しましたが、陽の一番大きい数である
9が重なり、おめでたいとされ、宮中でも
観菊の宴などが行われていました。
宗家では着せ綿を作り、親しい方にお贈りしています。

今日は大徳寺の江月禅師が遠州公にあてて贈った
重陽の偈をご紹介します。

九日重陽 籬在東 南山々下 興無窮

枝々洗出 蒲城雨 白菊白而 紅菊紅

毎年重陽を迎え、庭前の東にある籬には
白い菊は白く、また紅菊は紅に
相変わることなく咲いている

という意味の偈で、重陽の日に庭先に
紅白の菊が変わらず咲いている
今年も無事にその菊を愛でることが
出来る喜びを祝い、長寿を願う気持ちが
伝わってきます。

9月 4日(金)遠州公所縁の地を巡って

2015-9-4 UP

9月 4日(金)遠州公所縁の地を巡って
「 南禅寺大方丈 虎の児渡しの庭」

ご機嫌よろしゅうございます。

各地の寺社などでは、その庭を
「遠州作と伝えられています」
と解説されていることが多く見受けられます。
その全ての真偽は定かではありませんが、
それだけ遠州公の当時の影響が強かった
ことがわかります。

そのような「伝遠州作」の庭の中で、
この南禅寺は、残された文献等から遠州公作
と確認できる数少ない作品の一つです。

借景、遠近法、大刈込といった、三次元的な技法を駆使し、
別名「虎の子渡し」と呼ばれ,左端の大きな親虎と
その横の小さな虎の子とが瀬を渡る様子を表すと
いわれています。
中国の説話では、虎の児は三頭いれば、一頭は獰猛で、
他の児虎を食べてしまうそうです。
そのため母虎は川を渡るとき、まず獰猛な児虎を
最初に向こう岸に渡して引き返し、次の一頭を連れて
渡ります。そしてまた獰猛な児虎を連れて戻り、
三頭目の虎を連れてまた川を渡ります。
そしてまた引き返して、最後に獰猛な児虎を再び連れて
渡るのだそうです。
母虎の子を児を想う気持ちが表れた
優しく雅雅な印象の庭園です。

9月 2日(水)遠州流茶道の点法

2015-9-2 UP

9月   2日(水)遠州流茶道の点法
名残(なごり)

ご機嫌よろしゅうございます。

昨年もご紹介しましたが
名残のお茶は本来、口切で開いた茶壺の茶が
残り少なくなったことを惜しむもので
そのお茶を客様に振る舞うのが名残の茶事です。

また風炉の最後で、時候も秋めいてくる頃
過ぎ行く季節を名残惜しむという意味でも
使われます。

その哀愁の気持ちを表すように、道具組では、
たとえ茶碗ににゅうがはいっていたり、
呼び継ぎのあるものでも愛おしく使用します。
趣のあるやつれた大振りな鉄の風炉など
日頃は用いるのも控えめにした
どこか風情のある、ひえ枯れた道具を用いて
この時期ならではの茶の湯を楽しみます。

また花も、風炉の季節の最後
力いっぱいに咲く残花を侘びた花入に入れます。