東海道旅日記 「走井の走井餅」

2020-10-30 UP

走井(はしりい)には東海道名物の「走井餅」があります。
遠州公の頃にはまだ現在の形ではなかったようで、
はじまりは明和元年(1764)、十代将軍徳川家治の頃、
湧水「走井」と近江の米でつきあげた餅は、旅人の疲れを癒したようです。
両端がすぼまり細長い独特のかたちは、走井の水量豊富な水の流れ、
走井で名剣を鍛えた刀鍛冶の故事に因のだ刀の形と所説あります。
またこの餅は落語にも登場しています。
「東の旅」
(正式には「伊勢参宮神乃賑(いせじんぐうかみのにぎわい)」という旅話。)
の「走り餅」の段では登場人物が、
大津名物の走井餅を食べてしゃっくりが
止まらなくなるというお話が描かれています。
旅人がこの走井餅を楽しむ様子を描いた
歌川広重の「東海道五十三次 大津 走井茶店」
この茶店は現在では月心寺としてその姿を残しています。