東海道旅日記 下りの記 九月二十六日
2015-7-3 UP
遠州公が旅をした様子を書き綴った「道の記」当時の旅の様子が詳しく読み取れ、大変に興味深いのですが、その中には各地の名物も多数登場します。そのうちの一つ「十団子」をご紹介します。
九月二十六日
江戸を出発して五日目。
現在の静岡のあたり、物語にも多く登場する宇津谷峠に差し掛かった時その麓の里で、名物の「たうだんご」に出会す。
遠州公ははじめ「唐団子」と聞き間違い、中国から渡ってきた珍しい団子かと思っていたところそうではなく、霰のような白い餅を器に十ずつすくうので「十団子」なのだとのことでした。それでは実際掬わせよと遠州公が言うとお店の女房は杓子で自在に掬って見せたとあります。その様子が遠州公の旅情を慰め、時の経つのも忘れた様子です。
さて、遠州公の東海道旅日記には、もう一つ「上り」があります。こちらは、「下り」の書かれた四十三歳から二十一年後の六十四歳の折の様子が綴られており、二つ読み合わせると、その時の経過を感じることができます。
