夏は夜

2014-7-14 UP

7月14日 夏は夜

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は枕草子の一節をご紹介します。

夏は夜
月の頃はさらなり
闇もなほ、蛍のおほく飛びちがひたる
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし
雨など降るもをかし

月明かりにほのかに光る蛍
そして、突然の夕立

どれも夏の夜にふさわしい、美しい情景です。

「をかし」は趣がある、風情があるといった意味。
日常の風景の中に風情を見つけ、それを巧みな表現力
で表した「枕草子」は「をかし」の文学とも言われます。
特にこの「春は曙…」から始まる四季の一節は
原文で読んでも、確かにその美しさに共感できる
日本人の美しいものに対する感性は、現代に通づるものだと
実感できます。
これが千年以上前に書かれたものであるから驚きです。

山開き

2014-7-3 UP

7月 3日 山開き

ご機嫌よろしゅうございます。

例年7月1日には富士山の山開きがされ、
登山愛好者の待ちに待った登山の解禁となります。

昨年、世界文化遺産認定で話題となりました富士山ですが
かつてはそれ自体が御神体であり、多くの行者が修行する
信仰の山でした。

江戸時代には富士講と呼ばれる信仰が庶民にまで広がり
参拝登山するようになりました。
白装束に身を包み、「六根清浄」と唱えながら登ります。

その山開きが
残雪などを理由に
今年から山梨側、静岡側の登山ルートで開山期間が異なり、
静岡側が7月10日からとなることが決まったそうです。

同じ山なのに登る場所によって
山開きの日が異なるとは
なんだが不思議な気がしませんか?

文月

2014-7-1 UP

7月1日 文月(ふみつき)

ご機嫌よろしゅうございます。
今日から7月。

旧暦7月の異称である文月は、
七夕に短冊に詩歌や文字(文字上達を願って)を書いて
笹につけて飾る風習があるから「文披月(ふみひらきづき)」
七夕の夜に書物を夜風に当てる風習ので「文の月」
となったとか
稲穂の実が熟し始める「穂含月(ほふみつき)」
からとも言われています。

梅雨があけると夏もいよいよ本番です。

着物も絽や紗といった薄物になり
軒先に
風鈴を吊るして、耳で涼しさを感じたり、
日本では暑さをしのぐ工夫が
昔から行われてきました。

四季の移り変わりを感じる余裕も
なくなっていることの多い近年ですが、

そういった夏の設えをどこかでふと目にした時、
その風情に、日本らしさを感じ、豊かな気持ちになるのは
やはり、日本人が古くから培ってきた
特有の感性を忘れず持っているからではないかと思います

南風(みなみはえ

2014-6-25 UP

6月 25日 南風(みなみはえ)

ご機嫌よろしゅうございます。
梅雨明けが待ち遠しい今日この頃です。

この季節吹く風を南風とよんでいます。

太平洋上で発達した高気圧から吹き寄せる季節風
をいい、大漁を約束するといわれる南風。
漁師たちはこの風を心待ちに、海を見つめます。

もともと漁師言葉であったようですが、
俳句の季語にもなっていて
梅雨の黒雲の下で吹く風を黒南風(くろはえ)
梅雨明けの頃吹く南風を、白南風(しろはえ)と言います。
白い風が空に流れて夏の訪れを告げます。

梅雨に入る黒、梅雨が明け盛夏へ向う白と、
同じ南風を明快に言い分け、
季節の変化を感じさせてくれる季語の一つです。

夏至(げし)

2014-6-21 UP

6月 21日 夏至(げし)

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は夏至にあたります。
一年のうちで最も昼間の時間が長くなるのが
夏至です。

この日に関西ではタコ、関東では焼き餅を食べる地域も
あり、地域性が表れます。

北欧では白夜が有名ですが日照時間が短いので、
昼間の最も長い夏至は、とても大切な日とされ
様々な国で夏至祭が催されたり、
国中が週末お休みになる国もあるようです。

日本でも近年ではこの夏至の日に
環境に対する取り組みという観点から
短い夜をキャンドルの灯だけですごそうといった
イベントも行われています。

父の日

2014-6-15 UP

6月 15日 父の日

ご機嫌よろしゅうございます。

父の日を提唱したのは、アメリカのジョンブルース・ドット夫人。
彼女の父は南北戦争で軍人として働き、復員してまもなく過労により妻を亡くし
その後は男手一つで6人の子供を育て上げます。

母の日同様、父の日もあるべきとして夫人が『牧師協会』へ嘆願し
その後1916年に『父の日』が認知されるようになりました。
アメリカで正式に祝日となったのは1972年
日本では1950年ころに広がり始め、
1980年頃には定着していきました。

『父親を尊敬し、称え祝う日』が「父の日」です。

近年日本では日本ファーザーズ・デイ委員会という組織が
毎年ベスト・ファーザー賞を発表しています。

選考基準は
・ 明るく楽しい家庭づくりをしている父親
・ 父親学の実践者
・ 子供たちの良き理解者、良き教育者
・ 社会の福祉に貢献し素敵な父親像をアピールしている人

などがあり、さまざまな意味で「素敵なお父さん」
と呼べる人を選び表彰するという趣旨のものです。

映画「父は家元」で垣間見えるお父様としての愛情
また、茶道を通じて次世代を担う子供達に優しく語りかける
宗実家元は、まさしく
「ベストファーザー」だと思う筆者でありました。

五月雨

2014-6-9 UP

6月9日 五月雨(さみだれ)を…

五月雨を集めてはやし最上川

ご機嫌よろしゅうございます。

この俳句は江戸時代の俳人松尾芭蕉の有名な句です。
この句が詠まれたのは、元禄二年(1689年)に
最上川を訪れた時のことです。

この川は日本三大急流の一つにもあげられる
大変大きな河川です

初め船着場の家で行った句会で
「五月雨をあつめてすずし最上川」
と詠みました。
最上川から吹く心地よい風が、暑さを和らげてくれた
その情景を詠んだ句ですが、
その数日後、最上川を船で下ったとき、
「水みなぎつて舟あやうし」といった激しい川の流れ
であったので、「すずし」を「はやし」
とかえたのだそうです。

梅雨の一雫がやがて大河となる
その濁流に危険を感じながらも川舟で下る芭蕉が感じた
大自然の力と美しさが伝わります。

水無月

2014-6-1 UP

6月1日 水無月(みなづき)

ご機嫌よろしゅうございます。
今日から6月
今年も折り返しとなります。

旧暦でいう6月は梅雨も明け、暑さも厳しくなる時期
です。雨が降らないので「水が無い月」と言われたなど、
水無月という名前の由来には諸説あります。

6月に入ると、着物は単衣(ひとえ)と呼ばれる
裏地のない着物に衣替えします。

遠州流では袱紗の生地が絽に変わります。
こちらもお家元が毎年好まれて作られており、
腰につけるととても涼しげで、
お道具を清める手元まで、季節感を感じさせてくれます。
お茶会などでご覧になった方にもお声をかけていただきます。
綺麗さびの美意識ならではの
細やかな心配りです。

五月晴

2014-5-29 UP

5月 29日  五月晴(さつきばれ)

ご機嫌よろしゅうございます。

気候も穏やかな新緑の季節、
爽やかに晴れ渡ったこの空のことを
「五月晴」と表現します。

しかしこの「五月晴(さつきばれ)」という言葉
本来は旧暦の5月を指しました。
梅雨の間の晴れの日に使われていましたが、
現在では五月の晴天という意味でも使われるようになったのです。

三寒四温同様、
誤用が一般化して定着した一例といえます。

虎が雨

2014-5-28 UP

5月28日  虎が雨

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は5月28日
この日は必ず雨が降るという伝承があります。

建久四年(1993)
仇討ちで有名な曽我兄弟が父の仇討ちに敗れて討ち死にし、
兄祐成の愛人、虎御前が悲しみに涙した日なのだそうです。
その後虎御前は兄弟を弔うため出家します。

旧暦では梅雨に当たるため、
江戸時代には俳句の季語でした。

また神奈川県小田原市城前寺では
仇討ちが行われたこの日
「曽我の傘焼き」と 呼ばれるお祭りがあります。
富士の裾野で傘を焼いて松明とした故事にちなむ祭りで
周辺をまわって古い傘を集め、火を放って供養します。

さて今年は虎御前の雨が降りますでしょうか?