4月16日 長命寺の桜餅
ご機嫌よろしゅうございます。
お花見のシーズンになると店先に並べられる「桜餅」。
今日は有名な「長命寺の桜餅」についてお話しします。
桜葉三枚に包まれた薄皮の桜餅
江戸時代に生まれた
花見とともに愛されるお菓子です。
向島の長命寺の寺男だった山本新六が
堤の桜の葉を何かに使えないものかと考え、
まず作ってみたのが桜の葉のしょうゆ漬けでした。
しかしこれはあまり売れず、次に作ったのが
薄い小麦粉の皮に餡を包み、桜の葉を塩漬けにして
巻いた桜餅。
これは大変人気がでて、1日700個以上売れたとか。
それから約300年、隅田堤の桜と共に名物となり
その人気は現在まで続いています。
ちなみに明治の俳聖正岡子規は若い頃
この長命寺のお店の二階に下宿しており、
その娘と恋の噂が立ったそうです。
桜餅屋の2階で書いた子規の手書き文集「七草集」には、
娘を主人公にした戯曲や恋の短歌などが書き連ねられています。
さてこの桜餅、葉を残すか食べるか
好みのわかれるところです。
お店によっては、皮ごとを勧めるところもあれば
葉は外して、桜餅に残った香りを楽しむことを
勧めるお店もあるようです。
4月1日 一夜落花雨(いちやらっかのあめ)
ご機嫌よろしゅうございます。
今日から4月。
入学式や新生活を迎える方も多い月ですね。
四月は卯月ともいい、卯の花つまり空木の花の咲く月という
異名もあります。
たくさんの美しい花々を楽しめる
一年でも最も明るく華やかな時期でしょう。
さて、花を愛でるのは、その姿だけではありません。
花の持つ香りも楽しみの一つです。
お香を聞くときも、少し湿った雨の日の方が香の香りが
よく味わえますように、やはり花の香りも
しっとりとした雨上がりの方が、その甘い香りが際立ちます。
今日はそんな香りにちなんだ禅語を御紹介します。
一夜落花雨(いちやらっかのあめ)
この言葉は
美しい花を落としてしまうほどの雨
しかし、一夜明けると、その雨が地を潤し、
花の香りで満ちていた。
という意味です。
この語は
当時字がうまいと評判だった二代大膳宗慶が
八歳のとき(寛永五年・1628)、宮中に召され
後水尾天皇・東福門院の御前でこの言葉を書きました。
その日雨が降っており
「嘉泰普燈録(かたいふとうろく)」という禅宗史伝書の
第六にある「一夜落花雨満城流水香」の語を選び
一同を感心させたと言います。
3月27日 千林処々花(せんりんしょしょのはな)
ご機嫌よろしゅうございます。
先日、宗家のお稽古場にこの禅語が掛けられていました。
千林処々花
この言葉は
春入千林処々花 秋沈万水家々月
(春は千林に入る処々の花、秋は万水に沈む家々の月)
と対句になっています。
春の光は至るところに広がり、花々はその蕾をひらかせます。
秋には明月が、「万水」、海や湖水、川や庭の蹲などの水面に隔てなく
平等に月影を写し出します。
大自然の働きに喩(たとえ)て、
仏の慈悲は遍く平等に広がっていることを示した句です。
3月11日 季節の茶花
ご機嫌よろしゅうございます。
今日は茶花についてお話ししたいと思います。
十一月から四月までという長い期間
炉の季節の主役はやはり椿ですが
その椿に添える枝ものによって
季節感が現れます。
三月始めには西王母という桃の精の名前の椿を用いて
桃の節句の趣向とし
芽の膨らみかけた青柳や、菜の花をいれると
とても可愛らしい取り合わせとなります。
また三月中旬には、この頃咲き始める
木五倍子(きぶし)を添えたり
三月末には、やはりこの時期に多く咲き始める
八重咲きの椿に、辛夷(こぶし)などの花を添えます。
待ち焦がれた春の訪れを
茶花の調和によって表すことで
茶席も一層明るくなります。
【告知】
財団法人小堀遠州顕彰会では
平成26年3月23日(日) 港区虎ノ門のニッショーホールにおいて
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テーマは『懐石と菓子』
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Mail: info@enshuryu.com TEL: 03-3260-3551
3月1日 「弥生」
ご機嫌よろしゅうございます。
今日から3月「弥生(やよい)」です。
「弥生」は「弥生(いやおい)」が変化したものとされ
「弥(いや)」はいよいよ 「生(おい)」は芽吹きの意味をもちます
。 草木がいよいよ芽吹く月ということから
「弥生」となったと言われています。
「荘子」にも 「春気発して百草生ず」
という言葉がありますが、三月を迎え、
野山や身近な花や樹々がにぎやかになってきます。
茶花も、椿に添える枝ものが 豊富になってきて
待ちわびた春の到来を様々な 種類の花で表現することができます。
2月27日 椿餅
椿餅
ご機嫌よろしゅうございます。
そろそろ和菓子屋さんで
「椿餅(つばきもち」が並ぶ頃になりました。
今日はその椿餅についてご紹介します。
「椿餅」は日本最古の餅菓子の一つで
「源氏物語」の若菜の巻上や
「宇津保物語」、「藻塩草」などにも
「つばいもちひ」の名が見られます。
椿餅といえば、椿の葉の間に
俵形の道明寺生地をはさんだもので、
道明寺は関東ではほとんど好まれていませんが
中に餡が包まれています。
2月頃の季節菓子としてよく目にしますが
昔は甘い小豆餡などはまだなく、
甘味は生地に甘葛(あまづら…つたの汁を煮詰めたもの)
を練って団子状にし、椿の葉で包んだもので
現在とは味もだいぶ異なった
ものだったのでしょう。
【告知】
映画 父は家元
金沢:シネモンド
上映時間
(1)10:15~(2)15:30~(3/8~15)
(2)10:15~(2)17:35~(3/15~20)
(1)18:00~(3/21)
映画 父は家元 公式ホームページ
2月20日 花をのみ
立春を過ぎ、暦の上では春…とはいっても
まだまだ厳しい寒さは続く日々
花の咲きこぼれる
麗らかな春を待ちわびてしまいます。
しかし
こんな春の感じ方も素敵ですね。
花をのみ待つらん人に山里の
雪間(ゆきま)の草の春を見せばや
藤原 家隆
花の咲くのばかり待っている人に、
山里の残雪の間に萌え出る、
若草の春を見せてあげたい。
利休が茶の心を表すのに
用いられた歌でもあります。
厳しい寒さの続く中
雪の間から、若く青い芽が顔を見せている…
静かな中にも内に秘める生命力を感じられる歌です。
【告知】
明日をもちましてテアトル新宿での映画 父は家元の上映が終了いたします。
上映時間
(1)10:00(2)17:25
映画 父は家元 公式ホームページ
2月 14日「蕗の薹」
ご機嫌よろしゅう ございます。
本日は今が旬の「蕗の薹(ふきのとう)」
についてお話しします。
独特な苦味と香りのある蕗の薹。
子供の頃はなかなか食べたいと思わなかったものですが
次第に、春になると食べたくなるようになるから不思議です。
蕗の薹は日本原産の山菜で、
全国の山野に自生しています。
古くから食用に利用され
てんぷらや、和え物などにして食されます。
食べる部分はつぼみの部分にあたり、
この花が咲いた後に地下茎から
伸びる葉(ふき)が出てきます。
山野に自生する天然の蕗の薹は
雪が解け始める頃に芽を出します。
春の訪れを知らせてくれる
この時期に欠かせない山菜の一つです。
【告知】
映画 父は家元 上映案内
・テアトル新宿 21日まで
・横浜ニューテアトル 14日まで
・福岡中州大洋 21日まで
・金沢シネモンド 3月8日~21日
・名古屋 伏見ミリオン 4月5日~18日
・青森 シネマ・ディクト 4月19日~5月2日
映画 父は家元 公式ホームページ
2月10日 梅
ご機嫌よろしゅうございます。
今日はそろそろ見頃を迎える
「梅」についてお話をしたいと思います。
今日私達が花見といって思い浮かぶのは
桜かと思いますが、
奈良時代には花といえば
梅を指すことの方が主でした。
お雛飾りにも添えられる
「左近の桜 右近の橘」は
平安京の紫宸殿(ししんでん)
に植えられていたものですが
これも創建当初は桜ではなく
梅が植えられていました。
桜が広く好まれるようになるのは
万葉の奈良から世代も移り変わった
平安時代もなかばからのことです。
【告知】
福岡中洲大洋にて「父は家元」
上映開始。
(1)10:10(2)12:05(3)14:00
15日以降は未定
映画 父は家元 公式ホームページ
皆様ご機嫌よろしゅうございます。
本日は季節の花、山茶花(さざんか)についてお話いたします。
《季節の花:山茶花》
山茶花は、その年の気候によってかなり早く咲き始めることもありますが、あまり暖かな季節にふさわしい花とはいえません。
やはり秋風が冷たさを一層加えて、木枯しの吹きすさぶ頃が、まさにこの花の色が美しく映えてくるといえます。
山茶花は、ツバキ科の常緑小高木で、日本及び中国が原産とされ、現在は80種ほどの園芸種もあります。
ツバキ科の中では、最もよく椿に似ており、この実から採れる「さざんか油」もまた「つばき油」と同じ不乾性油で、髪や皮膚に付けると、抜け毛や毛切れ、裂毛を防ぎ、皮膚の炎症を抑え、フケや痒みなどを防止する効能があります。
また、食用としても良いし、時計などの精密機器用の潤滑油としても効果があるので、ほとんど「つばき油」と同じ性質を持っています。
この山茶花という、少し無理のある読ませ方をする名前ですが、もとは椿の漢名(中国の名)である「山茶(さんちゃ)」の「山茶花(さんさか)」の字音が変化したもの、というのが一定の説となっております。
春に花を盛んに咲かせるのを「つばき・椿」とし、それに対し、木も葉も花も実も小振りで、主に、冬に盛んに花を咲かせるのを山茶花としていたとも言われ、一年を通して、人間の眼を楽しませてくれます。