5月 6日 (水)風炉の花
5月 6日 (水)
風炉の花
ご機嫌よろしゅうございます。 風炉の季節、山の草花や樹々も いきいきと緑を増し始めます。 その自然の様子をうつすように、床の間の花も 椿から草花に変わり、花入は籠など 軽快なものも使用して楽しみます。 今日はお点法を離れて、風炉の花についてご紹介します。 爽やかな中にも季節の変わり目である初風炉の 床の間に格を感じられるものに 牡丹や大山蓮華があります。 牡丹は花の王であり、国に二王なしと言われるように 一輪で用い、何色にも染まらぬという意味もあり 白が好まれました。江戸時代には全国の大名に 茶の湯が親しまれ、牡丹一輪の心は儒教の心を 表すとされました。 真っ白な花弁に赤いしべが鮮やかに 映る大山蓮華は、深山に咲くため入手困難だったからか 松屋や天王寺屋などの古い会記には その名を記すものがありません。 一番古いものとしては松平不昧が 幕末に遠州公作の竹花入に入れています。 その茶会の数年後、やはり不昧が竹の花入に入れていますが この二回の記録以外には今のところ見当たりません。 近代に至り、栽培も始まったこと、また流通も発達したことも 手伝って自然と風炉の花として 重用されるようになっていったようです。