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2月11日 (水)茶入の巣蓋

2月11日 (水)茶入の巣蓋

ご機嫌よろしゅうございます。

昨年、3月15日にご紹介した「在中庵」茶入の
巣蓋にこんなエピソードがあります。

巣蓋とは象牙の真ん中に通る神経を景色にして
作られた茶入の蓋です。
当時象牙自体貴重でしたが、この「巣」を景色にした
ものはとりわけ珍重されました。
利休から遠州公の時代、この「巣蓋」はまだ存在使用されず、
織部が最初に取り入れたと、遠州公が語っています。
そして、遠州公は中興名物茶入れを選定し、
歌銘をはじめ、箱・挽家、仕覆といった次第を整えていく際に、
牙蓋も一つの茶入れに何枚も付属させており、多様性をもたせる為に
巣のある蓋を好んで用いました。

牙蓋の景色として巣を取り入れたことにより、
巣を右に用いている遠州公に
前田利常公が理由を尋ねたところ、

「客付き(点前座からみて、お客様からみえる方向)
の側に景色を用いるのが自明の理」

と答えたそうです。

遠州公のお客様への配慮、
「綺麗さび」の美意識を感じるお話です。

このお話を知ると、美術館などで
遠州公所縁の茶入が展示されていると
つい巣蓋の巣の位置に目がいってしまいます。

日々の稽古でも蓋のの向きに注意して
お稽古なさってください。

遠州流茶道連盟
遠州流茶道連盟