秋の園遊会
2025-12-1 UP
師走を迎え、各人各様の日々を過ごされていると思う。宗家は例年のごとく、この頃になると年末の大掃除と年初の行事の準備に追われることとなる。特に大晦日と元旦は、歌舞伎の早替わりや舞台転換と想起させるように、一日というよりは一瞬で茶室の飾り付けや設えを変えてしまう。子供の頃、それは面倒と思うこともあったが、一方では少し興味を持つことでもあった。小さいときは、テレビが見たい、初詣に深夜に出ていきたいという欲求のほうが勝っていたものだが、それはやがて、家でしなければならないものがあるという気持ちが優先されていく。いま思えば、実に自然と我が心がゆるやかに変化したものだと思う。
年末までの10月、11月は行事が多いが今年の10月は特に多かった。時系列ではなく、少しここに記すことにする。
10月28日に、秋の園遊会が開催され、赤坂御苑に伺った。昨年に続き、二度目のご招待にあずかり、妻とともに昼過ぎに家を出発。当日はトランプ大統領の来日と重なり、交通規制などを心配したが、意外にすんなりと御苑に到着した。これ以上ないというほどの秋晴れで、私たちの待機場所には太陽が燦々と降りそそいでいた。1時40分頃に君が代の演奏ののち、天皇皇后両陛下と皇族方がお出ましになる。今年の春の園遊会からお歩きになる道筋が変更となり、この秋は二つのルートが設定されていた。私は陛下の歩かれる道筋で待機をしていた。両陛下が私の前で歩みを休められ、「小堀さん」とお声をかけられた。お言葉のなかで世界中で抹茶ブームがおきている話題となり、私は世界中の人たちがお抹茶を好まれ、うれしく思っている旨と、ただ飲むという行為だけでなく、そこに心を入れることが私の役割と考えていますと答えさせていただいた。私たち国民の全てのことに関心を持たれ、お心を配られる姿に、あらためて感激ひとしおであった。
10月1日は龍光院開祖忌に参列。午後には聚光院で千玄室大宗匠の墓前にお参りさせていただいた。裏千家坐忘斎宗匠にお迎えいただいた。10日は寛永寺創建400周年慶讃法要にて献茶奉仕。叡嶽双龍〔えいがくそうりゅう〕の天井画の迫力の下での点法は、独特なものであった。そして25日からの3日間にわたる全国大会。福岡という地の特色溢れる趣向の大会であり、次の年、次の世代へと継ぐ催しであった。おわりに遠州流茶道の飛躍を約して今年一年は千秋楽となる。
