望外の幸せ
2025-11-1 UP
去る9月13日と14日の2日間にわたり、私の古稀記念祝賀行事が催された。両日ともに500名以上の参会者で大変賑やかであった。すべての準備にあたった古稀記念祝賀行事実行委員会のメンバーの方々には深く感謝申し上げる次第である。
13日にホテルオークラ東京で行われた祝賀会では、多くのサプライズの趣向がふんだんに用意され、大変楽しいパーティーとなった。本来お祝いされる私も、冒頭のイリュージョンに出演者として参加することになり、それこそ生まれて初めての体験をすることとなった。過日の宗翔の結婚披露宴の際もそうであったように、私は何事に取り組むにも、準備をきちんとしている。私の場合、そういった宴会のときは、主に挨拶のスピーチが多い。これはぶっつけ本番では臨まないで、必ず自分自身でスピーチ原稿を書くようにする。最近は言葉が思いついたときにスマートフォンにメモを取りながら完成させている。そこまでできれば、時間のあるときに文章を記憶して、最後は諳〔そら〕んじながら時間を計ってみる。3分、5分、10分等々、その時々に合わせている。それだけ用意をしていても、私の順番が最初でないときに、前の方が同じような内容を話されることがある。その場合は、同じ中身は必ず削除し、話が重ならないようにしている。このことは結構大切なことであると思っている。そこで当意即妙にできるよう、常々心掛けている。だから思いつきという発想は私にはないといってよい。
14日の東京美術倶楽部での「囲む会」の名称で催された祝賀茶会は、根津美術館、小田宗達氏、そして実行委員会による、3席が設けられた。濃茶は、根津館長の格別のおはからいもあって、遠州道具を数々収蔵されている美術館のなかでも、これこそが遠州公の茶会といった趣向の取合せをいただいた。薄茶の両席も、お祝いの気持ちを満喫するすばらしい道具組であった。
また茶会の点前を始め、お運び、伴頭、水屋、案内さまざまな役割でお手伝いいただいた門人の方々にも御礼申し上げたい。茶会以外の部分でも、私のプライベートな部分を紹介する展示などもあり、これには驚かされた。
記念品の「WA KA RU TA」と記念誌は、大変な力作であり、後々まで残っていくものである。というわけで、私にとってこの2日間は望外の幸せを感じた瞬間であった。
とはいうものの、祝賀会で申し上げた通り、その時点で実年齢68歳、現在は満69歳ということで、来年の9月に70歳を迎えるわけなので、私にはまだ一年の猶予があるとも考えられるのである。今年は春から、例年より日数を多く茶事に取り組んでいる。稽古や茶会などの大勢の方たちのとの交流とともに、少人数の限られた空間での心の交わりを同時並行している。そう考えると、まだまだすることがいっぱいで、休んではいられないと改めて覚悟を決めている。
