9月 21日(月) 秋分の日が動き出す

2015-9-21 UP

9月 21日(月) 秋分の日が動き出す

ご機嫌よろしゅうございます。

9月23日は秋分の日。
秋分の日に関しては昨年もご紹介しました。

彼岸の入りから中日の秋分の日をはさんで
秋の彼岸となります。
真西に太陽が沈み、仏の世界が近くなる
この期間にご先祖供養をするのがお彼岸です。

この秋分の日に関して国立天文台の面白い記事を見つけました。
「秋分の日が動き出す」というもの。

2012年から秋分の日は、実際には23日ではなく、
22日にずれているというものです。
これは116年ぶりとのこと。

なかなか難しい話ですが、簡単に言うと
1年は365日ピッタリではなく、365日と6時間弱
で、そのズレを閏年で調整しますが、
その調整の関係上4年後は、秋分通過点を通過する時刻が
早まり9月22日になるのだそうです

ご興味のある方はこちらをご覧ください。
http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics2012_2.html

水口城

2015-9-18 UP

水口は都から伊勢へ通じる交通の要所で中世後期にはすでに町並が形成されていました。
慶長5年(1600)の関ケ原の合戦後、水口の地は徳川氏の直轄地となり、東海道の宿駅に指定され、徳川家康も度々この地を通行し、水口の寺院などに宿泊していたといいます。三代将軍徳川家光は京都への上洛に先立ち、寛永9年(1632)遠州公を作事奉行に任じて、上洛する際の将軍専用の宿館として、東海道の要衝の地である水口に豪華な本丸御殿を持つ城を築かせます。家光の威光を示すものであったため、遠州公は延べ10万人の大工を動員し、3年がかりで完成しました。将軍家の宿館ふさわしく数寄をこらしたものでその構造は二条城を小さくしたものでした。この御殿は徳川家光上洛の帰途に一度使われただけで、後に水口藩が成立、その居城となりました。寛永十年はこの水口城の他にも、仙洞御所泉水奉行伊庭御茶屋作事奉行、二条城本丸数寄屋作事奉行にあたり、多忙を極めていた時期です。遠州公はこの水口城の現場で直接指揮をとってました。

所在地 滋賀県甲賀市水口町本丸4−80

史跡 水口城跡
史跡 水口城跡

9月 16日 (水)遠州流茶道の点法

2015-9-16 UP

9月 16日 (水)遠州流茶道の点法
「天目 その(1)」

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は台天目点法についてご紹介します。
この点法は貴人点とも呼ばれる格調高い点法です。
天目台と呼ばれる台に載せ、使用します。

茶の湯の初期、書院式茶礼・台子の茶では全て
天目茶碗でした。
この天目茶碗と天目台は鎌倉時代に中国の天目山
の禅刹に遊学した僧侶が帰国の際に持ち帰ったと
言われています。

他の茶道具が見立てから代用されたものであるのに
対して、天目茶碗は茶を喫する為に作られているため
の道具とも言えます。

遠州公にちなんだものには遠州蔵張所載の
「大名物 油滴天目茶碗」(北村美術館蔵)があります。
この茶碗は、遠州公が寛永十三年(1636)に
将軍の命を受け造営していた品川林中の御茶屋が
完成し、三代将軍家光をお迎えして披露の茶会
を催した折、家光へ献茶するために使用されました。

また遠州公が品川東海寺を始め由緒のあるお寺に
寄進した天目台があり、
その天目台と同じ水仙の蒔絵が施されたものが
遠州忌の際、拝服席で使用されています。

9月 14日 (月)鯖(さば)

2015-9-14 UP

9月 14日 (月)鯖(さば)

ご機嫌よろしゅうございます。

二十四節気の白露も過ぎ、いよいよ
秋の気配の感じられる頃となってきました。

暑さで疲れのたまった体には、旬の野菜や魚を
いただくことで体に負担をかけず体力を
取り戻していくことができます。

鯖もこの時期美味しくなる食材の一つです。
今日は鯖に関係するお話をご紹介します。

「サバを読む」と昔から諺に使われますが、
この魚の鯖のことを指していることは
皆さんご存知でしょうか?

鯖は鮮度が落ちるのが早いため、水揚げされた鯖を
1匹、2匹と数えていてはせっかくの魚が腐ってしまいます。
そのため、大雑把に10匹、20匹とざっくり数える。
そこから数をいい加減に数える、ごまかすという
意味で使われるようになったのだとか。

そして今と違って冷蔵庫のない時代、
鮮度が落ちやすく、すぐ生臭くなってしまう鯖に
味噌で臭みを消して、濃い味付けで食べていたのが
おなじみの「鯖の味噌煮」の由来なのだそうです。

9月 9日 (水)遠州流茶道の点法

2015-9-9 UP

9月  9日 (水)遠州流茶道の点法
「中置(なかおき)」

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は九月九日、重陽の節句です。
宗家道場では着せ綿が床の間に飾られ
長寿を祝う設えを楽しみながらお稽古が
行われています。
そして少々早めですが今月から中置のお稽古が
始まります。

通常の位置より道具畳の中央に寄せて
風炉を置きます。
当流では、小間・広間どちらでも点法します。
尚この中置には二通りの点法があります。

一つは先月ご紹介した大板の上に小さい風炉・釜を
載せ、盛夏に行います。柄杓を勝手付に置きます。
こちらは四畳半切りでのみ行われるものです。

もう一つは名残の季節に大きな鉄の風炉を織部焼
などの敷瓦に載せて、水指を常とは逆に勝手付に
ニ・三目よせて点法します。
こちらはお客様に火を近く、水を遠くという
考えから生まれたと思われます。

いずれの点法でも、中置の場合には点前座が
狭くなることもあり、合柄杓といって
風炉の柄杓より柄が短いものを用います。

9月 7日 (月) 重陽(ちょうよう)の文

2015-9-7 UP

9月 7日 (月) 重陽(ちょうよう)の文

ご機嫌よろしゅうございます。

9月9日は重陽の節句です。
この重陽の節句については昨年
ご紹介しましたが、陽の一番大きい数である
9が重なり、おめでたいとされ、宮中でも
観菊の宴などが行われていました。
宗家では着せ綿を作り、親しい方にお贈りしています。

今日は大徳寺の江月禅師が遠州公にあてて贈った
重陽の偈をご紹介します。

九日重陽 籬在東 南山々下 興無窮

枝々洗出 蒲城雨 白菊白而 紅菊紅

毎年重陽を迎え、庭前の東にある籬には
白い菊は白く、また紅菊は紅に
相変わることなく咲いている

という意味の偈で、重陽の日に庭先に
紅白の菊が変わらず咲いている
今年も無事にその菊を愛でることが
出来る喜びを祝い、長寿を願う気持ちが
伝わってきます。

南禅寺大方丈 虎の児渡しの庭

2015-9-4 UP

各地の寺社などでは、その庭を「遠州作と伝えられています」と解説されていることが多く見受けられます。その全ての真偽は定かではありませんが、それだけ遠州公の当時の影響が強かったことがわかります。そのような「伝遠州作」の庭の中で、この南禅寺は、残された文献等から遠州公作と確認できる数少ない作品の一つです。借景、遠近法、大刈込といった、三次元的な技法を駆使し、別名「虎の子渡し」と呼ばれ、左端の大きな親虎とその横の小さな虎の子とが瀬を渡る様子を表すといわれています。
中国の説話では、虎の児は三頭いれば、一頭は獰猛で、他の児虎を食べてしまうそうです。そのため母虎は川を渡るとき、まず獰猛な児虎を最初に向こう岸に渡して引き返し、次の一頭を連れて渡ります。そしてまた獰猛な児虎を連れて戻り、三頭目の虎を連れてまた川を渡ります。そしてまた引き返して、最後に獰猛な児虎を再び連れて渡るのだそうです。母虎の子を児を想う気持ちが表れた優しく雅雅な印象の庭園です。

南禅寺大方丈 虎の児渡しの庭
南禅寺大方丈 虎の児渡しの庭

9月 2日(水)遠州流茶道の点法

2015-9-2 UP

9月   2日(水)遠州流茶道の点法
名残(なごり)

ご機嫌よろしゅうございます。

昨年もご紹介しましたが
名残のお茶は本来、口切で開いた茶壺の茶が
残り少なくなったことを惜しむもので
そのお茶を客様に振る舞うのが名残の茶事です。

また風炉の最後で、時候も秋めいてくる頃
過ぎ行く季節を名残惜しむという意味でも
使われます。

その哀愁の気持ちを表すように、道具組では、
たとえ茶碗ににゅうがはいっていたり、
呼び継ぎのあるものでも愛おしく使用します。
趣のあるやつれた大振りな鉄の風炉など
日頃は用いるのも控えめにした
どこか風情のある、ひえ枯れた道具を用いて
この時期ならではの茶の湯を楽しみます。

また花も、風炉の季節の最後
力いっぱいに咲く残花を侘びた花入に入れます。

8月 31日 (月)撫子(なでしこ)

2015-8-31 UP

8月 31日 (月)撫子(なでしこ)

ご機嫌よろしゅうございます。

二十四節気の処暑を過ぎ、暦の上では
夏の暑さも収まり秋への準備が始まる頃です。

秋の七草にも数えられる「撫子」は、
茶花として風炉の時期に活躍する可憐な花です。

「撫でし子」の名の通り、愛らしく、撫でるように
してかわいがる子(女性)というところから
ついたとされています。

うるはしみ 我が思ふ君は なでしこが
花になそへて 見れど飽かぬかも

なでしこが 花見るごとに 娘子らが
笑まひのにほひ 思ほゆるかも

など万葉集には愛しい女性にその面影を重ねる歌が
多く詠まれています。
この撫子は、現在で言う河原撫子を指していました。
中国から渡来した唐撫子(石竹)に対して、
在来種を大和撫子と呼ぶのだそうです。

茶花でも、撫子だと思っていると
実は石竹だったということが時々あります。

しかしどちらも可憐で、夏の暑さを和らげ
秋の気配をさせてくれる可愛い花です。

8月 26日(水)遠州流茶道の点法

2015-8-26 UP

8月 26日(水)遠州流茶道の点法
「拝見について」

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は茶入・仕覆の拝見について
お話したいと思います。

通常拝見の声をかける際には、まずお茶入の拝見を
所望し、その後別に仕覆・茶杓拝見と
一つ間を置いて所望します。
同時に拝見を所望しないのは、
袋は茶入の付属品であるからという考えからで
本来拝見を所望するのは茶入のみでした。

松屋会記には、若き日の片桐石州が遠州公に
拝見を所望し、無言でポンっと袋をほおられた
という話が残っていますが、茶入のみならず
袋の所望をした石州に野暮なことを言うと
遠州公が思われたのでしょう。

名物裂ということで珍重された袋を見たい場合、
遠州流茶道では
「とてもの儀にお仕覆、お茶杓拝見」
と所望していました。