瀬戸金華山茶入 銘「廣澤」 中興名物 遠州蔵帳所載

2014-9-13 UP

廣澤は千年を超える月の名所です。釣鐘型のこの茶入は

澤の池の面に身をなして
見る人もなき秋の夜の月

という古歌にちなんで、遠州公が銘をつけたとされています。これほどの茶入を今まで見る人もなかったという心からの銘とのこと。

この「廣澤」には蓋裏を銀紙で貼ると伝承されています。月の銘を持つ茶入に相応しい趣向です。遠州公自身が茶会で使用した記録は見つからず、内箱に金粉字形で「廣澤」と書き付けています。遠州公所持の後、松平備前守、土屋相模守、朽木近江守昌綱が所有。松平不昧公が羨望したものの手に入れることが出来ず天保の頃、姫路酒井家が所蔵。現在は北村美術館に収蔵されています。