11月 2日(月)口切の文
11月 2日(月)口切の文
ご機嫌よろしゅうございます。
11月に入り、炉を開く季節になりました。
また茶壺の封を切る口切の季節でもあります。
古くは霜が降りてから、落葉樹の葉の色づき加減を
みるなどして炉を開くなど、その時々の四季の
変化に応じて茶の湯も行われていました。
古田織部も自邸の柏の木の葉が色づくころ
炉を開いたと言われています。
遠州公もまた同じく、自然の変化に応じて
いたようで、こんな文が残っています。
壺の口切めでたく存候
茶すぐれ申候 竹の花入出来候而
気相もよく候之由様可為本望
委曲久左衛門可申候 恐惶
九月二十五日 遠州花押
くれ竹のま垣の秋の色に香に
はやここちよしちよの白菊
9月25日付の文には、既に口切を済ませ、
お茶の具合もよく、また自作の花入も満足な
ものができたと喜んでいます。
9月には既に寒さが早くやってきたのでしょう。
先人の茶の湯は現在のそれとは異なり、
自然とともに流れ、変化に応じていく
ゆるやかで豊かな心が感じられます。