お問い合わせ

茶の湯に見られる文様

ご機嫌よろしゅうございます。
毎年5月15日に行われる葵祭は京都の春の風物詩です。
花で飾られた牛車や、輿に乗った斎王代を中心にした行列が、
御所を出て下鴨神社から上賀茂神社を巡幸する雅な様子は
平安の昔を今にみるかのようです。

「源氏物語」の「葵」の帖では、源氏の正妻である葵の上と
六条御息所が、見物の場所をめぐっての車争いが引き起こされます。
車とは貴族が乗る牛車で「御所車」と呼ばれ、後世「源氏物語」の
世界を象徴するものとして、文様として多く描かれました。
草花や流水と組み合わせた華やかな文様は振袖や打掛にも
描かれます。しかしそういった華やかさだけなく、
車の廻るがごとく、人の世は巡り巡るもの・儚いものとした、
車輪を人生になぞらえた無常観を表すものとしての文様、
また仏の道である法輪を象徴するものとしてもとらえられます。

御所車の車輪は木でできていているため、乾燥やひびを防ぐため、
川の流れに浸し置かれました。
そうした当時の光景を文様化した「片輪車文様」は、
水の流れに任せて回転する車と流転する人生とが重ね合わされ
無情感や日本的世界観が構築されていきました。
「片輪車蒔絵螺鈿手箱」は装飾経を収める経箱として
用いられたと言われていますが、その文様に託された隠喩が
関係するのでしょうか。
この図柄を原羊遊斎に模させた松平不昧共箱「蒔絵錫縁四方香合」
があります。また志野や織部にも片輪車を描いたものは多く、
「織部片輪車星文四方鉢」や、赤地に緑釉をかけた珍しい織部に
「山路」と銘をもつ茶碗がありこれにも水辺に上部のみ
姿を見せる片輪車が描かれています。

遠州流茶道連盟
遠州流茶道連盟