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世の中に

4月14日 世の中に

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は桜にちなんだ和歌をご紹介します。

世の中に たえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし

よく知られた在原業平の和歌です。
この世の中に全く桜というものが無かったならば、
咲くのを待ちどおしがったり、散るのを惜しんだりすることもなく
春を過ごす心はのどかであったろうよ。

伊勢物語では
業平が交野(かたの)で惟喬親王の狩のお供をして
そのあと桜の下での酒宴で詠まれた歌と書かれています。
待ち焦がれた春と桜の花
しかし散り急ぐ桜に心は急かされ、いっそなければ…
と、心うらはらの気持ちがよくあらわれています。

返歌が後に続きます。

散ればこそ  いとど桜はめでたけれ
憂き世になにか久しかるべき

散るからこそいっそう桜はすばらしいのだ。
この世界に永遠のものなどあるだろうか…

春が来たよと教えるように桜は花を咲かせ
そしてはらはらとその花弁を舞わせて散っていきます。

千年以上前の日本人も、今を生きる私たちも
同じ心でこの桜の姿を見て
心を動かされていることを感じさせてくれます。

遠州流茶道連盟
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