不傳庵 茶の湯日記
暑い移動
遠州茶道宗家十三世家元 小堀 宗実
日本列島は完全に熱帯的気候に変わってしまったようである。この七月、八月は全国各地で三十五度前後の猛暑に見舞われて毎日のニュースでも大きな扱いとなり、熱中症等に対しての注意喚起を度々目にしている。
毎月、出稽古や出張などで、飛行機や新幹線等を何回も利用するのであるが、この季節の頃の移動は、本当に辛いものがある。各支部の出張は別として、毎月の出稽古に向かう先は、福岡・神戸・大阪・奈良・京都・名古屋である。見事にと言っていい程、どこもかしこも、暑いところばかりである。場所によって、どこが暑いとは必ずしも言いきれないのが最近の特徴である。
以前は、京都か、奈良が、特に暑く思えた時もあった。というのも、稽古場所がお寺等、エアコンの無い部屋という事がその印象を強くしていたのかもしれない。しか
し、この頃は、そういう事は全く関係なく、全ての場所が暑いのである。大体、出発地である東京そのものがすでに暑い。今年に限っていえば、東京が一番酷い気がする。
例えば、新幹線のホームでいえば、京都が一番かもしれない。到着間近に、車内の席で、ジャケットを渋々羽織って、デッキに移動した際に、すでに若干の温度変化がある。実はこの時、次におとずれるであろう、熱風地獄に対しての覚悟が少し芽生えている。そして、駅のホームに列車が止まると共にドアがあき、言葉にならない程の熱風が私の身体にまとわりついてくるのである。思わず息を止めたくなる様な一瞬である。一目散に階段に向かってゆく。プラットホームにいる時間を一秒でも短かくという思いである。階段を早足でかけ降り、再び、奈良行きの列車の改札に行く。ここからもう一度、プラットホームに行くのがまた悲しい気持ちである。しかしやむをえず、気持ちを奮い立たせて待合室でしばしの休憩。そして列車へという具合である。
過日、新大阪駅で本を買うために、何年かぶりに地下街に降りてみた。そうしたところ、これ程暑い場所があったのかと思うぐらいの温度である。まるでサウナ風呂にいる様である。しかしこの地下街で買い物をしたり、食事をしたりする人も、たいしたものだが、そこで仕事に従事されている人達は、もっと凄いと感じた。歩くだけで
目眩がする気になる。この傾向は、今後益々激しいものとなるであろう。
日本が国としてCO2削減を世界にリードする形で誓言しているのであるが、果たして、成しとげられるのであろうか、はなはだ疑問である。

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