和歌

2014-1-6 UP

 「綺麗さびの日々」メールマガジン

ご機嫌よろしゅうございます。  今日は今年の干支にちなみ、馬が登場する和歌についてお話したいと思います。

平安時代以降は「馬」を優雅な表現として「駒」と表すようになります。  有名なものに 『駒並めていざ見に行かむ故里は雪とのみこそ花は散るらめ  古今』  馬を並べてさあ見に行こう。  故里(旧都奈良か)はただ雪のように桜の花が美しく散っていることだろう。

『駒とめて袖打ち払ふ陰もなし 佐野のわたりの雪の夕暮れ  新古今』  道中どこか物陰に入って袖にかかった雪を払おうとしたら、辺りには物陰がない。  馬をとめて袖の雪を払う物陰もないのだなあ。 この佐野の渡し場の雪降る夕暮れ時よ。

この歌は藤原定家の歌で、遠州流と定家は深い関係がありますが、また改めてお話したいと思います。

さてさて、毎年恒例の点て初めでは  お家元がその年の御題に因んだ和歌を詠み、  自作の茶杓に歌銘としてしたためたものが使われます。  今年はどんな茶杓が拝見できるか楽しみです。


	

初子

2014-1-5 UP

「綺麗さびの日々」メールマガジン

ご機嫌よろしゅうございます。 本日は初子(はつね)正月の最初の子の日のことをさします。 古来中国の風習が日本にも取り入れられ、 安時代は子の日の遊として、盛んに行われた行事で、野外に出て小松を引いたり、若菜を摘んだりした、一種のレクリエーションです。 松は常緑樹であり、長寿の象徴、そしてこれから成長していく小松を引くことで、 行く末がたのしみだという想いがこめられています。また万葉集を編纂した大伴家持の歌に『はつはるのはつねのけふの玉箒手に取るからにゆらぐ玉の緒』という和歌があります。 初春の初子の日である今日、 頂戴したこの玉箒を手に致しました途端、ゆらゆらと音をたてる玉の緒です。 初子には天皇陛下が「手辛(てがら)の鍬」で自ら田を耕し、皇后陛下が蚕室をはらう儀式があり、蚕を飼う棚を清めるために使われたのが「玉箒」です。これが正倉院に一組だけ現存しており、その写真をもとに先代の宗慶宗匠が寸法を割り出し再現したものが、 毎年点初めで飾られています。ご先代は大和絵を学びながら、日本の故事や宮中行事の研究をされていて、この「手辛の鍬」「玉箒」の他にも様々なものを正月のしつらいにとりいれられました。そちらについても また後日お話したいと思います。

摩利支天

2014-1-4 UP

「綺麗さびの日々」メールマガジン

ご機嫌よろしゅうございます。  本日は初亥(はつい)

摩利支天(まりしてん)縁日が最初に行われる日で  この日に多くの参詣者が訪れます。

摩利支天は陽炎を神格化した女神です。  陽炎なので、捉えらるることも傷つけられることもなく自在の力を操り、また目には見えずとも常に身近にいて人々を護ってくれる護身の神として信仰を集めました。

日本では昔から忍者、武士、力士などの戦勝の神としても信仰され、出陣の際には鎧の中にお守りとしてひそませたそうで、毛利元就は摩利支天の像を旗印に、山本勘助、前田利家も信仰していたといわれています。

この摩利支天が走猪に乗っているとされるものが多く、ここから猪が神使とされました。

東京徳大寺、京都建仁寺塔頭・禅居庵のお堂「摩利支天堂」、金沢「宝泉寺」 この三寺が日本三大摩利支天と言われています。

ご利益は護身除災、旅行安全、財福授与、武徳守護など

初詣がまだの方 お詣りしてはいかがでしょうか?

 

三世正恒宗実公

2014-1-2 UP

ご機嫌よろしゅうございます。
新年明けて2日目。
見慣れた街の景色も、なぜか清々しく改まったように感じられる気がします。皆様も帰省されたり、自宅でのんびり過ごしたり、はたまたすでに仕事…など様々にお過ごしのことと思います。

さて本日は1月2日に因んで、三世正恒宗実公についてお話したいと思います。
三世宗実公は1649年に江戸屋敷で生まれます。
有職故実に長け、朝鮮通信使来日の際にご馳走役を務めたほか、日光東照宮の祭礼奉行などを歴任し、諸大名と茶道を通じて交友を深めました。1694年1月2日に亡くなっています。

遠州公以来三代に渡って収集された蔵品を整理した「小堀家器財帳」を作成し、これが後の「遠州蔵帳」の基礎となります。 この遠州蔵帳についてはまた改めてお話したいと思います。

このような資料から、茶人の好みや茶の湯の形を窺い知ることができるため、歴史研究に大変重要な資料であり、その礎を築いた宗実公の功績は大きいでしょう。

また当代十三世家元は三世宗実公の号を継承されました。

〈告知〉
世界初茶道ドキュメンタリー映画【父は家元】
テアトル新宿の公開初日はナレーションを務めた家元の次女、小堀優子が舞台挨拶を予定しております。

宗家の門松

2014-1-1 UP

皆様あけましておめでとうございます。 
遠州流メールマガジン 綺麗さびの日々 
本日から本格的にスタート致します。 
遠州流に関すること、 また折々の行事や美術館情報、 茶会や宗家でのお稽古風景など、様々な話題をお届けしていく予定です。 
こんなことにふれてほしい、 ちょっと聞いてみたいことなど 皆様のご意見ご感想を是非お聞かせください。 

さて第一回目の今日は門松に関するお話。  
お正月に飾る門松は、歳神様をお迎えする依代の意味があります。

では宗家ではどんな門松か、と申しますと、実は宗家では門松を飾りません。 
その理由は、十一世其心庵宗明宗匠の時代から 遠州流茶道宗家の正面玄関の両脇には松が植えられているからです。 そのためあえて松を飾ることをやめ、青竹の花入に千両と万両、 そして梅を入れて飾り付けしています。

今度宗家にお越しの際には 是非両脇の松を御覧になってみてくださいね。

〈告知〉

遠州流茶道ドキュメンタリー映画
【父は家元】が1/25よりテアトル新宿にて公開。
2/1からは横浜ニューテアトル。
大阪、福岡、金沢、名古屋、青森でも公開致します。

公式ホームページ
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映画の情報も日々更新してまいります。