「米一(よねいち)」

2016-12-23 UP

12月 23日(金)能と茶の湯
「米一(よねいち)」

ご機嫌よろしゅうございます。
先週は狂言「米一」をご紹介しました。
年末に貧しい人に配られる慈善米がもらえない
ことが話の始まりです、
また、このお話の背景には滋賀県ムカデ退治で有名な
俵藤太の娘が「米一」であったといわれていることが
お話の背景にあることを頭にいれておくと、狂言が
一層楽しくご覧になれるでしょう。

今日はその「米一」にちなんだ茶入を
ご紹介します。
中興名物瀬戸破風窯茶入「米一」
狂言の「米一」に登場する俵と、その茶入の
姿が似ていたことから遠州公が命銘しました。

遠州公自ら所持していましたが、その後
稲葉美濃守正則に伝わり、更にいつの頃からか
鴻池家の所有となりました。
口造りは厚手で胴のやや下部で閉まり、銘の
由来となる俵型になっています。
肩の少し下から黄釉が斜めに流れ、その周りに
茶釉が取り巻いて景を複雑なものにしてくれています。

なお、この茶入の為に遠州公が仕立てた仕覆は米一金襴と
呼ばれ名物裂の一つとなっています。

12月 16日(金)能と茶の湯

2016-12-16 UP

12月 16日(金)能と茶の湯
「米一(よねいち)」

ご機嫌よろしゅうございます。
なにかと慌ただしく過ぎていく年の瀬
皆様もお忙しい日々をお送りのことと思います。
今日は年末にちなんだ狂言をご紹介します。
「米市(よねいち)」に登場する太郎は、
年越しの時期にもかかわらず先立つものがありません。
年末にいつもお米と衣類をもらうことになっていましたが
音沙汰なく、思いたって有徳人(うとくにん・お金持ちのこと)のところに行きます。
なんとかお米と小袖を手に入れた太郎。

重い米俵を背中に担ぎ、小袖はどうやって持とうか
悩むと、有徳人が背負った米俵に着物を掛けて、
両の袖を太郎の手に通してやります。
後ろから見ると人を背負っているようで怪しいから、
人にとがめられたらどうしようと太郎が心配すると
有徳人に「俵藤太のお姫御 米市御寮人」のお里帰りだと
言ってやりなさいと言い含められます。
案の定、帰り道に若者達に声をかけられ、
教えられたとおりに答えると、若者達は御寮人に
お酒のお酌をしてもらいたいと言い始めます。
揉み合いの末に若者の一人が小袖を取ってしまい、
背負っていたのが女ではなく俵だということが分かり
若者達は逃げていきます。

米俵を背負い、姫に見立てたやり取りがユーモラスな
狂言です。