6月17日(水)遠州流茶道の点法

2015-6-17 UP

6月17日(水)遠州流茶道の点法
「茶碗披き(ちゃわんびらき)」

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は茶碗披きについてご紹介致します。
亭主が拝領した茶碗や名物茶碗を手に入れ
初めてお客様に茶碗をお披露目する際に
されるお点法がこの「茶碗披き」です。

通常の点法では、茶碗は他の道具に比べ
拝見にだす機会が少ないかと思います。
このお点法での主役は茶碗ですので、
通常とは逆に、席入りの時から予め茶碗を飾り付けて
茶入を持ち出して点法を始めます。

また通常の濃茶の点法の最中であっても、
お客様から所望があれば、途中から
「茶碗披き」の仕舞いにしていき、
自分で茶碗を清め拝見に出すことが出来ます。
その場合は水屋に下がった際に、
仕舞い込み茶碗を用意し、茶道口に置きます。

風炉の場合は、席入り前の柄杓の飾り付けも特殊で
華やかな印象のお点法です。

5月 13日 (水)遠州流茶道の点法

2015-5-13 UP

5月 13日 (水)遠州流茶道の点法
炭点法の道具

ご機嫌よろしゅうございます。

風炉の設えになり、炭点法に使用する
火箸・灰匙を桑柄からかねの平打ちへ
香合も焼き物から塗物へ
他の道具も小ぶりなものにかえ、使用します。

その中で遠州流茶道で特徴的な
小羽と枝炭についてご紹介します。

小羽は一つ羽ともいい、灰器に乗せて持ち出す
小さい羽の箒で、
風炉に灰を蒔いた際、尉(じょう)とよばれる
白い灰が飛ぶので、五徳の爪と前瓦を
清めるために考案されたものです。
白鳥の羽を青と黄に染めたものもあり、
青を夏、黄色を秋に用いたりします。

また、火移りを良くし、装飾的な役割も
果たす枝炭は、他流では白く塗ったものを
使用しますが、遠州流茶道ではそれは用いません。

この白く塗った枝炭は古田織部が考案した
と言われていますが、遠州公は作為的に
色を塗ることを好まず、自然に白っぽく
焼けた炭を枝炭に用いたと言われています。

遠州流の点法

2015-1-14 UP

1月 14日(水)遠州流の点法

ご機嫌よろしゅうございます。

当時、遠州好みは綺麗さびとも称されるように
茶道具に限らず、建築や庭園、着物の柄など
その洗練された美しさで、当時の美意識の
お手本ともされていましたが、
遠州公のお点法も綺麗さびの一つです。

松屋会記と呼ばれる茶会記の中で
筆者の松屋久重が遠州公の茶会に
招かれた時の記録が残っています。

久重は炭の置き方、道具の様子などから
遠州公の動きまでを細かく描写しています。

その中で茶巾の扱い方を

成程ニキレイニテ
一ネチメワナノ所アキテ
イカニモダテ也

現代語訳
茶巾のさばき方がなるほどと思わせるように
綺麗で、一ねじふくらませて輪にあけたところ
が、いかにも伊達だった。

この綺麗という感覚は、寛永の時代に共通する
美意識でもあり、当時の公家の日記にも
しばしば「きれい」という言葉がみられます。

伊達という言葉も、当時の流行語で、
仙台伊達家の行列からくる言葉ともされますが、
すっくと目立つ姿、精気あふれる
艶やかな美しさを表現します。

江戸時代後期には
「綺麗キッパは遠江」
と歌われたように

遠州公は、この綺麗を好む寛永文化の美意識の
中心的存在であり、そのお点法も
綺麗さびを感じられる伊達で美しいお点法でした。

現在、遠州流茶道門人が稽古するお点法は
その遠州公の時代から形を大きく変えることなく
伝わっている、伊達で綺麗なお点法なのです。

来週からはその遠州流茶道のお点法を一つづつ
紹介してまいります。