卯の花墻

2014-5-12 UP

5月12日  卯の花墻

ご機嫌よろしゅうございます。
爽やかな初夏に白い卯の花が美しく咲き
新緑にうつるその白さは、私たちの目に眩しく映ります。
卯の花は空木(うつぎ)の別名です。

今日はそんな卯の花を銘にもつ
茶碗をご紹介します。

日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されているのは、
二碗のみで、そのうちの一つがこの「卯の花墻」です。
(もう一碗は本阿弥光悦作・銘「不二山」

室町三井家から寄贈され、現在東京の三井記念美術館に
所蔵されています。
16世紀後半、桃山時代に作られた志野茶碗です。

志野とは、美濃(現在の岐阜県)の窯で焼かれ
桃山時代を代表する窯場のひとつで、
織部焼もここで作られています。

少し歪んだなりをしていて、篦削りも大胆なこの茶碗は
織部好みに通じる作行きです。

夏に白い花を咲かせる卯の花の垣根に
似ていることからこの銘がつけられました。
遠州公の後、徳川将軍の茶道師範となった
片桐石州による銘とされています。