燕子花(かきつばた)

2014-5-19 UP

5月19日 燕子花(かきつばた)

ご機嫌よろしゅうございます。
初夏に咲く花といえば
燕子花が思い浮かびます。

そしてかきつばたといえば
この和歌が浮かぶのではないでしょうか?

からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもふ

歌の頭に
「かきつばた」と詠みこまれたこの和歌は
伊勢物語「東下り」の有名な和歌です。

失意の主人公が、東国で再出発しようと思い立ち
数人の連れと京から離れ、はるばる旅を続けます。
途中三河の八つ橋というところに行きつき、
かきつばたが大変美しく咲いていました。

着慣れた唐衣のように慣れ親しんだ妻が
(京には)いるにもかかわらず、
はるばる旅をしてきたことよ

と詠むと、皆さめざめと泣き
その涙でもっていた干飯(かれいい・携帯用のご飯)
がふやけてしまったよというおちもあり、
泣かせながら、ほんの少し笑わせます。

この物語は後に人々に広く受け入れられ
尾形光琳の燕子花図屏風など様々な絵画のモチーフとして
好んで使われました。