正念場

2019-12-1 UP

 いよいよ師走と相成った。自分の年齢を重ねるうちに月日の流れの早さを感じるのは、皆様も同様ではないでしょうか。


 流祖遠州の時代も全く同じであったようで、歳暮の消息(文)には、その気持ちを表した歌入りのものが多い。ただ、その消息には、ただ移りゆく歳月を惜しむだけでなく、来るべき新春を待つ期待感を込めている。白髪の増えることは長寿のあらわれという意味を込めた「ながらへて我が身世に降る白雪は 幾年々も積もれとぞ思ふ」という歌もある。したがって、年の暮れは、めでたいものであり、無事に年を越せることが嬉しいという内容もよく見かける。


 さて皆様にとって今年はいかがであっただろうか。本年は日本では五月に新天皇陛下が御即位され、元号が平成から令和に変わった。十月には即位正殿の儀が行われ、私達には、日本という国の伝統や歴史の重みを眼前にすることができ、感動とともに誇りを感じたものである。


 一方、今年ほど台風をはじめとする自然災害に見舞われた年もないのではないか。亡くなられた方々、そして被災され、いまだに被災以前の生活をとりもどせない方々に対して、心からお見舞い申し上げる次第である。


 来年は、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの年である。マラソン、競歩の開催場所が札幌になるという、あまりにも驚愕の変更がありながらも、先般のラグビーワールドカップのことを考えても、来年の七月、八月、九月は日本中が、アスリートの活躍に胸躍らせるに違いない。大切なことは、その後に日本人や日本という国がどういう方向に向かうかということである。人生はあざなえる縄の如しというが、正しく来年は、日本の正念場の年となると思う。