4月 21 日(金) 茶の湯に見られる文様 「牡丹」

2017-4-21 UP

ご機嫌よろしゅうございます。
4月も半ばになると百花の王とも称される牡丹が、
見事な花を咲かせます。
はじめ鎮痛・消炎等の薬用に使用されていたものが南北朝・6世紀の
隋の時代には観賞用として栽培され以後異常な程のブームを巻き起こしました。
日本には空海が持ち帰ったとの説があり、やはり薬用としての利用から
平安時代頃には観賞用に なっていたようです。
茶花としての牡丹もやはり、その気品と風格をあわせもつ
王たる風格から青磁などの花入で格を整えます。

また牡丹といえば裂地で牡丹唐草文として多く見かけることと思います。
この文様は名物裂には最も多い文様でその次は竜の文様、この二つを合わせると
全体の半分を越えます。この牡丹唐草文という文様は、厳密な植物名ではなく、
各種の花葉を蔓にあしらった絡み文様の様式名、優美な植物連続模様の総称です。
つまり、牡丹唐草文という名前であっても、 本当の牡丹の花が
あしらわれているわけではないということになります。
これは、牡丹の原産である中国北部の人々が、 牡丹の育たない南から来た
斬新な花唐草の文様を目にしたとき、国の代表的な花であり、
美の代表である牡丹の名をその図案に付けたのだと思われます。
それ故、現在でも牡丹には俄かには見えない花も
「牡丹」とよばれるわけです。 呼称法については
①裂の地色
②蔓の一重・二重の別
③花の大きさの区別
その他、全体を金色に見せている金地の場合はこれも加えます。