「利庵」の名は、小堀宗実家元の命名です、「利」という字には、「利口」や「便利」など(よい)という意味がある一方、「鋭利な」というように(鋭い)という響きもあります。清らかな空間で感性を研ぎ澄まし、豊かな心を永遠に伝えていこうという思いを「利」という字にこめて、「利庵」となづけられました。
この茶室の材質は、木曾ヒノキを使用しています。また、天井にはアルミを使っております。その上にプラチナ箔をおいています。プラチナという素材は、大変硬く、叩いてもなかなか伸びにくく、金箔の3倍の厚みがあります。その10センチ四方のプラチナ箔を約1万枚を使って造られています。
茶室の空間は、3畳台目と呼ばれる大きさです。道具が置いてある点前座が、台目畳という通常の4分の3の大きさで、これに3畳のタタミが加わり、3畳台目といいます。
この茶室の特徴の一つは、この点前座と床の間との境目の風炉先部分が、壁でなく、空間としてある事です。これは、遠州作の大徳寺孤篷庵の忘筌という茶室のデザインが取り入れられています。
もう一つの特徴の一つは、障子の桟が、二重にしてあります。これも遠州作の龍光院にある国宝の茶室、「密庵」と同じものです。本来、金紗が貼られていますが、今回はお客様から中が見えやすいようにしてあります。
第3の特徴は、右側にあります付書院です。通常3畳台目は小間であり、書院がつくことは在りません。このプラチナの茶室は、無限や永遠をテーマに造られています。付書院には、銀河の泉といわれる香箱が飾られています。お客様が座られるところには、畳表に紺の毛氈をまいて造られています。
第4の特徴は、床框と台目柱をプラチナ以外の素材にしているところです。台目柱が、朱溜塗にし、床柱のプラチナ色と対比させ、さらに床框は白檀塗といって、木材に金箔をはり、その上を何度も漆をかけて磨くという伝統的な手法が用いられており、利庵のポイントとなっています。
このように、これらの特徴は伝統的なあるいは小堀遠州が350年前に用いたアイデアを13世小堀宗実家元が現在に生かしたものです。
最後に、5番目の特徴として、アーチ形の天井がありますが、これは宗実家元の創意によるもので、茶室の歴史上では初めて試みられた天井です。3畳という小さな空間でありながら、広々とした感覚を持つように考えられたものです。
この茶室は、解体、組み立て可能な茶室で、組み立てるのに約6時間、解体に約3時間かかります。細かく1000パーツほど分かれて、何処でもお茶会をする事が可能です。 |