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茶の湯日記
近況
四月は新しい年度の始まりである。入学式、入社式など全国で人それぞれ新しい人
生の一歩をスタートさせる。
家蔵の一軸に次のような一説がある。
「千里の行 一歩より力行して千里を尽くす 慎みて荒怠するなかれ」
孤篷庵一世江雲宗龍和尚の書かれたものであるが、私なりに解釈すれば、「人生の
目標を千里にたとえれば、まず、第一歩が大切である。何事につけても最初が肝心で
あり、力強くありたい。そして一歩一歩真面目に、けして途中で横道にそれたり、怠
けたりしてはいけない」と言うことであろう。この語を新しい旅立ちをする人達に私
からのエールとして贈りたい。
さてこの四月から小学館発行の月刊誌『和楽』において、父紅心と私との二人の対
談を主とする「綺麗さび十二か月」の連載がはじまった。各月ごとに一つのテーマを
かかげてそれについて二人で語り合うという企画である。昨今、お互いに忙がしくて
なかなか同じ屋根の下にいながらも、じっくりと向きあう事ができない現実がある中
で、私にとっては実に有難い機会である。
宗家と家元、親と子、師匠と後継者、亭主と客といった具合に、その時、その場面
で立場はさまざまに変化する。主に私が教えを乞う形式になっているが、このチャン
スに、父の持っている引き出しを可能な限り開けてみたいと思う。
雑誌の収録は、一日で概ね五〜六時間かかっている。これは茶事よりも長時間であ
る。この時間を共に有する私の喜びが、誌面に表現できれば幸いと考えている。私達
が話す事は、当然茶の湯が中心であり、流祖についての話題が多くなるが、今、数回
分を終えたところでの素直な感想といえば、実に奥が深いという事である。何時間で
もその話が尽きる事はなく、遠州という人は本当にすごい人だったのだと改めて思わ
されている。
最後に最近の私の周りの事を少しだけ記させていただく。長男の正大もようやくこ
の四月から一年生になる。三月に新しい制服とランドセルを試着したところをみた
が、ご多分にもれず、ランドセルが歩いてるようで何とも微笑ましかった。長女は高校二
年生、バレーボールに熱中し、次女は中学三年生になり剣道に打ち込んでいる。
あっという間のような気がするが、確実に時は流れ、子供達は成長しているのであ
る。私もこの子供たちに負けないようにありたいと願っている。
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