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茶の湯日記
今おもう事
一年の締めくくりの師走をむかえると例年の事とはいえ、周辺がなんとなくあわた
だしくなる。畳替えや障子の張り替え、大掃除、新年の飾り付けの準備といった事に
追われてくる。特に我が家では、歳暮の行事も同時進行しているわけであるから、な
おの事、忙しく感じられる。そんな時でも自分自身を見つめ省みる心だけは失くした
くないものである。
今年を振り返れば、昨年にも増して忙しかった。恒例行事に加えて新しい試みにも
取り組んだせいもある。が、まだまだ「茶の湯を通して心を豊かにする」目標を達成
するには、不充分であり、不完全である私であったと思っている。
さて記憶に新しいところで、この十日に男鹿支部担当で行われた全国大会は、支部
員の一致団結したもてなしの心が溢れる気持ちよい大会であった。開催会場になった
大潟という場所は、かつては陸のないところであった。つまり、多くの人々の血と汗
と涙の結晶として、ゼロから生まれてきた土地である。そういった地を選んだ男鹿支
部の心意気がうれしかった。
無から有を創り出す、これこそ茶の湯の創意工夫の精神と合致するのであった。そ
もそもこの大潟を選んだのは、故佐々木宗愛先生と聞いている。
佐々木先生は、男鹿の支部長はもとより、秋田県における茶道界を代表する人物で
あった。遠州流においても茶道遠州会副会長として永きにわたり、ご指導をいただい
ていた。お目にかかる時はいつも、その若々しい考え方に私自身大いに刺激を受けて
いた。
晩年の思い出としては、私の家元継承行事を秋田県内の支部が合同で催した時、総
責任者として配をふるわれた事である。その際に青年部と私との懇談会の冒頭に、誰
よりも青年の志を大きく声に出して述べられた姿には、頭の下がる思いであった。私
達に勇気と感動を与えてくれる先生であった。その志を男鹿支部員が大切に引き継い
だ結果が、此度の大会の成行であったと思う。
私自身の今年最大の出来事といえば、『茶の湯の不思議』の出版であった。大学を
卒業して以来二十数年が経過し、その間に、私が感じた疑問や、自分なりにその時の
感性で解決した事、あるいは教えてもらったものを実践してみてはじめて解った事な
どを、不思議と称してまとめたものである。
今読み返すと、すでにもう恥しいと思う事もあったり、あるいは、異なった答が出
ているものもある。刻一刻とそれはあらわれる。だからこそ、茶の道は奥深くはるか
なものであるといえるのかもしれない。
一歩またさらに一歩、新しき年にむかい、永遠に歩んでいかねばと思う次第である。
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