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茶の湯日記

 日本人とマナー


 日頃から支部出張や出稽古などで旅をする機会が多い私であるが、この五月から七月 にかけての三ヶ月は特に多くなる。すでに訪れた場所を含めて金沢、京都、大阪、名古 屋、福岡、弘前、男鹿、小浜、奈良などがこの夏までにスケジュールにのぼっている。 またその間にフランス、オランダにも行く事になっており、ほとんど東京にいる時間が 少なくなる。

 旅の折々にいつも思う事だが、最近は日本人のマナーが本当に悪くなった。駅のホー ムや階段などでちょっと肩がふれたり、狭い通路や乗降時にバッグがあたったりしても 何の挨拶もなく通り過ぎてゆく人がいる。そこで「ちょっと失礼」の一言が何故言えな いのか、と残念に思う。

 マナーを悪くしている一番の原因は、やはり携帯電話である。飛行機で、離陸前にア ナウンスがあってから初めて、あわてて電源を切る人を結構みかける。そういう人は機 内に乗り込む前に切る事などは絶対にしない人種である。もしうっかりして、安全な旅 に支障をきたしたらどうする気なのだろうか。自分だけでなく多くの人に迷惑がかかる という事がわかっていない。

 新幹線では、アナウンスや電光ニュースでマナーモードにし、通話はデッキでお願い しますと繰り返し流されている。にもかかわらず、一車両に必ず一人は電話を鳴らすか 、あるいは話をしている人がいるのだからあきれるばかりだ。

 前述の肩がぶつかったりする理由も、通行中の電話使用やメールチェックと見うけら れる。自分だけの都合で動く人が多くなると、他人に目をやり、心を配るという事など は意識のかたすみにもなくなってしまう。他人が愉快でいるという事が、自分にとって も快いと思えるのが、日本人の美徳であろう。

 私たち茶道を学ぶものは、まず率先してこの事を守っていかなければならないと思う 。そして小さい子供たちに、この美しい日本人の心を伝へていかなければいけない。

 お茶を頂く時に使う「お先にいただきます」「大変結構です」「ごちそうさまでした 」という三つの言葉を、私は子供たちに伝えていくことを自分の使命と考えている。茶 の湯を通して心を豊かにする、とても大切な事である。


[小堀宗実]    [HOME]

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