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茶の湯日記

省みる心


 最近の私達の身の周囲で起きる出来事を見ていると、これから十年先、二十年先、 いったいどのようになっていくのか不安になる事が多いのは私だけであろうか。きっ と多くの人達が皆同様の気持ちを心の片隅にもっているに違いないと思う。政治や行 政に対しての不満、人間関係の不信、様々である。

 人は生きていく中で様々な困難や苦境に対面する。何事も自分の思うがままに成る わけでないという事を頭でわかっていても、いざそれを自分自身にあてはめると、我 がままや慢心や欲望に勝てない弱さがあるのも人間の持つ一面である。そこに理性が 求められ、また人としての工夫が大切になってくると思う。

 もう一つ、常々ここで申し上げている自然環境の問題が将来を不安にさせるもので ある。最近も、ミャンマーのサイクロンや中国・四川大地震が起きた。天変地異は世 の常といえども、昨今はこれらのニュースを頻繁に目にし耳にする。それに被害の規 模が想像をはるかに超えたものの事が多い。

 今地球は怒っているのか、あるいは泣いているのかもしれない。日本でも白神山地 のブナ自然林があと百年すると温暖化により全て無くなってしまうという大変ショッ クな新聞報道があった。

 今私達は何かをして、何をしてはいけない時代に生まれているのであるという事を 自覚しなければならない。実際には出来ないかもしれないが、時を止める工夫を頭の 中でしていくべきであると思っている。めまぐるしさにかまけず、私達は、振り返る という事、省みるという気持ちを思い出すべきである。ものすごく小さな例えでいえ ば、履き物を脱いだら揃える、使ったら片づける、これらはその第一歩になる。

 茶の稽古で手続きや順序の先だけを見ている人は、本来の意味を理解できないのと 同じである。一つ一つの作法をていねいに時にはもう一度やり直す、くり返す、そう して完成された形が出来上がるのである。スピードの世に流されず、心を止め、時を 止められる人は、見ためにも優美であると私は考えている。


[小堀宗実]    [HOME]

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