茶の湯日記12月

不傳庵 茶の湯日記

一年の終わりに

遠州茶道宗家十三世家元 小堀 宗実 

 本年もあと残りわずかとなった。毎年の事といえども、年月の移りかわりを感じる速度は確実に年々早まってゆく。

 それにしても、今年はあまりにも多くの出来事があり、私自身まだ、全ての事に整理整頓ていない。

 正月は、いつも通り穏やかに新春を迎え点初めも盛況であった。父、紅心宗慶も、健在で、一部の参会客の前に顔を見せるなど、今となっては懐かしく思える風景もあった。

 三月に入り、十一日、日本全国を恐怖と、そして悲しい思いにつつんだ東日本大震災が起こる。私は、出張の合い間でたまたま自宅におり、稽古の仕度をしている所であった。いつもなら、大きい地震でも、そろそろ収まるだろうと、勝手に肉体が判断してそれ程の恐さを覚えないはずが、いつまでたっても揺れの終わらない時は本当に怖かった。

 その二日後に予定されていた遠州忌茶筵の中止の判断については、多くの人に対しての安全の尊重という考え方の一方、準備にかかわる多くの人達に対しての迷惑などに悩みながらの決断でもあった。

 そして何よりも私個人を含め、遠州流関係のみならず、茶道界にとっても、父の逝去は大きなおおきな悲しみであったと思う。

 米寿の祝いの茶会の丁度、一年後にあまりにも潔く旅立った故人に対しては、その時、そして今に及んでも、未だまだ私の心に様々な思いを、抱かせている。ふっと何かの時に思い出す事は少なくない。

 その後も、日本では台風や洪水、そして原発問題から派生している、放射線量の問題や、食料の安全の問題、また国会の混乱による、国民不在の政治に対する不信感など、挙げればきりのない状態が日本人を取り巻いている。

 どうすれば、世の中が明るい方向に進んでいけるか。これは、私達日本人一人ひとりに与えられた大きな宿題である。誰かがやってくれる。といった考えでなく、自分自身で切り開いていくという覚悟が必要である。前向きに、そして足元をしっかり見つめながら進んでいく気持を忘れないでいきたいと思う。