10月26日(月)村雨(むらさめ)

2015-10-26 UP

10月26日(月)村雨(むらさめ)

村雨の 露もまだひぬ 槇(まき)の葉に

霧立ちのぼる 秋の夕暮れ

寂蓮法師

ご機嫌よろしゅうございます。
秋の過ごしやすい気候では、時々にわか雨が
降ることがあります。この秋の突然の雨を
村雨や時雨といったりします。
雨の多い日本ならではの表現です。

さて、先ほどの歌はにわか雨が過ぎた後、
まだ乾ききらない槇の葉のあたりに
霧が立ち上っている、
秋の夕暮れの景色を歌っています。
静かな、そして寂しさの感じられる秋の夕暮れの
光景がとても趣深く、日本画のような描写です。

この歌を銘とする茶入が、
瀬戸金華山玉柏手の「村雨」で、
下から上に霧が立ち昇るような景色があるところから
遠州公が命銘したものです。
胴が締まった玉柏手で形状は本歌に酷似しています。
胴の中程がややくびれた筒形は、
唐物にはない瀬戸独自の形です。