茶の湯に見る文様「かきつばた」

2017-5-19 UP

5月 12日(金) 茶の湯にみる文様
「かきつばた」

ご機嫌よろしゅうございます。
端午の節句は、この頃に見頃を迎える菖蒲を
飾りに用いることから「菖蒲の節句」とも呼ばれ、
武士の「勝負」にかけられ男子の節句として祝う
ようになりました。
しかし菖蒲湯の菖蒲はサトイモ科で美しい菖蒲とは別物。
葉が似ていますが、蒲(がま)の穂のような黄色い花が咲きます。

そして花菖蒲と同様この時期に咲く「かきつばた」は、
その上品な出で立ちから画材や工芸品の模様として
多く取り上げられてきました。
染料として使われていたことから「書き付け花」がなまり
「かきつばた」となったとする説があります。

この「かきつばた」が描かれる作品としては「伊勢物語」
の八橋を題材とした尾形光琳の作品「伊勢物語八橋図」
「燕子花図屏風」など多くの作品が残ります。
旅人は直接描かれず、歌意を表す留守文様によって、
物語のイメージが膨らみ、見る者の想像を一層掻き立てます。
光琳の弟・乾山は「染付銹絵杜若図茶碗」をつくっています。
優雅に咲き誇る杜若を大胆な構図で描き、口縁に銹絵を施しています。
また、黄瀬戸茶碗には「唐衣」と銘をもつものもあります