茶の湯に見られる文様「龍」

2017-5-19 UP

ご機嫌よろしゅうございます。
今日は五節句のうちの一つ、「端午の節句」です。
詳しくは昨年もご紹介しましたが、鎌倉時代から
男の子の節句として祝われるようになった節句です。
また男子の出世を願って「登竜門」という言葉もかけられます。

今日はこの「龍」の文様をご紹介します。
中国において龍は権力の象徴であり、皇帝を示すものでした。
日本には弥生時代、稲作とともにその図像が流入し、
以後水の神として崇められたり、時に人に仇するものとして描かれ
様々なお話に龍が登場します。
一口に龍といっても、その種類は実に多く、中国における龍の
存在の大きさを物語っています。
裂地においても、龍は牡丹唐草に次いで数の多い裂地で
文形は小形の角龍とやや大きい丸龍形式に大別されます。
中興名物「相坂丸壷茶入」の仕覆「逢坂金襴」は綺麗さびを
体現した美しさで、雨龍と七曜、霊芝文が施された吉祥文様
になっています。他に珠光が好んだと言われる竜三爪の
「珠光緞子」が遠州好・高取「下面」茶入の仕覆として、
祥雲寺金襴と片身替で用いられています。
また「龍」で思い浮かぶ茶の湯の道具といえば「雲龍釜」でしょう。
「茶話指月集」には「雲龍釜」がはじめてできたとき、利休が
気に入って釜をかける姿や口伝が記され、茶会で「雲龍釜」
をよく使用しています。
釜から立ち昇る湯気に、天を昇る龍の姿を想起させます。