「姥捨(うばすて)」

2016-9-23 UP

9月23日(金)能と茶の湯
「姥捨(うばすて)」

ご機嫌よろしゅうございます。

今日は、先週ご紹介しました謡曲「姥捨」
にちなんだ銘の茶碗をご紹介します。

「姥捨」は姥捨伝説を題材にされていますが、
その悲劇を主としているというよりも、
月光の下で舞う老女の遊舞、人の世界を脱し
浄化された美の世界を表しています。

黒楽茶碗「姥捨黒」左入作
楽家六代の左入が四十八歳の時に赤黒二百碗
連作したうちの一つで、穏やかな作風の黒楽です。

赤楽「姥捨」九代了入作
柔らかな趣の赤茶碗で、赤黒200碗の連作「了入二百」
の一碗です。

また本阿弥光悦の黒楽にも「姥捨」の銘を持つ
茶碗があります。

老婆の魂を浄化する姥捨山にかかる名月の清らかな光
「姥捨」という銘は、そんな情景を連想させます。